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ニッチ先生の経営塾029 業界の無差別級チャンピオンになる?

階級制度の魅力

格闘技系のスポーツに階級があるのはフェアにするためです。
階級制度がなければ、体が大きなほうが有利です。

たとえば、ボクシング雑誌にパウンド・フォー・パウンドという遊びがあります。
これは、全階級で体重差のハンデがない場合、誰が最強であるかをランキングしたものです。
現実的ではないのですが、ボクシングファンには、大変興味深いランキングです。

このパウンド・フォー・パウンドの1位に選ばれたことがあるのが軽量級のスーパースター、現スーパーフライ級のチャンピオンのローマン・ゴンザレス選手(ニカラグア)です。
彼は、ミニマム級からスタートして、ライトフライ級、フライ級までは45戦無敗でした。
なおかつ、KO勝ちが80%を超え、軽量級ではありえない強さでした。

そのローマン・ゴンザレス選手でも、スーパーフライ級では4勝2敗(3KO)です。
先月に世界チャンピオンに返り咲きましたので、このクラスまでは通用したということです。
でも、もう1つ重い階級のバンタム級になると「???」が付きますし、さらに重い階級になると、世界のランキングに入ることも難しいと思います。

現在のプロボクシングは17階級に分かれており、スーパーフライ級は、軽いほうから4番目です。
いかにローマン・ゴンザレス選手であっても、階級制度があってこそのチャンピオンなのです。
つまり、体が小さければ、どんなに強くても、無差別級のチャンピオンにはなれないということです。
 

市場に階級制度をつくる生態的ニッチ戦略

これを経営に置き換えると自社のポジショニングをどうすべきかのヒントになります。
もし、対象市場が企業規模による階級制度があると、どうなるでしょう?

現在、市場シェアトップの会社は1社ですが、プロボクシング並みに17階級を設けるとトップシェアの会社は17社になります。
当然、市場には階級制度はありませんし、誰もつくってくれません。
逆に考えると、階級制度がないのですから自分でつくることができます。
しかも、自社に都合の良い階級をつくれます。

たとえば、スポーツの階級制度は、体重を基準にしていますが、これに身長や体型をプラスしてもかまいません。
とにかく、自社がチャンピオンになれるように基準を設ければよいのです。

これが生態的ニッチ戦略の発想法です。

生態的ニッチ戦略とは、「自社に最適な市場をつくり出す戦略」です。
たとえば、コアラは、木の上で生活して、ユーカリしか食べないという「オンリーワンの市場」(生態的ニッチ)をつくって、生存環境(捕食者がいない×占有できるエサがある)を整えています。

中小・零細企業だから弱者なのではありません。適所(生態的ニッチ)を確保できていないから弱者なのです。
大企業でも、適所を確保できていない青息吐息の弱者企業はたくさんあります。
反対に、適所を確保している強者の中小・零細企業もたくさんあります。

貴社も、自社に都合の良い新しい階級をつくり出してみてはいかがでしょうか?

=続く=

*図表と中小企業の事例は著書に記載します。
 

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2020/03/09

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