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ドラッカーの生態的ニッチ戦略 007 中小企業の経営の基本と原則 その7
顧客が事業である
マーケットインとプロダクトアウトという言葉があります。前者は、市場からの発想で、市場が求めるものを提供するという意味です。
後者は、自社を中心とした発想で、つくったものを売る、仕入れたものを売るという意味です。
一般的には、プロダクトアウトがダメで、マーケットインが良いとされています。
しかし、「必ずしもそうではない。市場のニーズに応えるのがマーケットインだが、市場のニーズを創り出すのはプロダクトアウトだからだ」と考える人がいるかもしれません。
たしかに、「ポケットに1,000曲のiPod」は、「ポケットに1,000曲入る機器が欲しい」と言った人はいませんでした。
アップル社がつくり出して市場が受け入れたものでした。
しかし、「いつでも、どこでも手軽に好きな音楽が聴けたらいいのになぁ」という潜在的なニーズはありました。
音楽好きなアップル社の創業者スティーブ・ジョブズが、誰よりも、そのような機器を欲しと思ったからです。
つまり、ジョブズ自身が顧客の1人だったのです。
マーケットインの重要性、顧客が事業であることは、ドラッカーの次の記述でわかります。
企業とは何かを決めるのは顧客である。なぜなら、顧客が、いや顧客だけが製品に対して支払う意思をもつことによって、経済資源を富に、つまりたんなる物を商品に変換させるからである。 =中略= 顧客が自分の購入しているものをどう考えるか、どんな「価値」を認めるか、これによって高品質の中身が決まる。 =中略= 顧客こそ企業の基盤で、企業を存続させる。顧客だけが職場を与えてくれる。消費者が欠乏し、または必要とするものを供給するためにこそ、社会は富を生む資源を企業に託すのである。(マネジメント)
=続く=
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