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ドラッカー読みのドラッカー知らず
脊柱動物の脊柱がない状態になっていないか
ドラッカーの専門家を自称している私の周りにも、ドラッカー好きな方がたくさんいます。でも、残念なことに、「この人、本当にドラッカーを理解しているのかな?」と思わざるをえない人もたくさんいます。
おそらく、しっかりした経営理論を身につけておらず、ご自身の経験と勘の上に、「ドラッカーの気に入った部分だけ」を取り入れて、パッチワークのような状態になっているからでしょう。
パッチワークも本物になれば素晴らしいデザインになりますが、基本ができていなければ、単なる寄せ集めの切り貼りにすぎません。
守・破・離の守から始めよ
ものごとを本格的に学ぶときは、「守・破・離」の順で学ばなければ、基礎は身に付きません。それはスポーツや音楽と同じように、経営にも当てはまります。
私が、「ドラッカー読みのドラッカー知らず」と感じる人たちは、「守・破・離」の「守」を飛ばして、「破」や「離」からスタートしているのでしょう。
ドラッカーを信奉する名経営者の方々は、「ドラッカーをボロボロになるまで読んだ」と言っています。
反復学習しなければ、身に付かないことを知っているのですね。
私は、1998年からドラッカーに取り組みだし、彼の著書を300回以上精読しました。
精読するだけでなく、アウトプットの一環として44冊の著書・監修書があります。
また、経営コンサルタントとして、あるいは、経営塾の主宰者として、ドラッカーに基づくニッチトップ戦略を講義してきました。
そして、数年前から、ようやく「守・破・離」の「破」の段階に差し掛かり出したと感じています。
一つのことに集中せよ
経営の高みをめざすならば、まず、一つの経営論を修得してください。対象は、経営学者が説いた理論です。
名経営者が書いた経営書は、読み物や参考書としては最高ですが、普遍性はありません。
あくまでも、能力が非常に高い方の経験に基づいているからです。
したがって、その方にとっては最高の仕組みかもしれませんが、あなたに合うとはかぎりません。
マネキンが着ている服が最高に見えても、あなたに合うかどうかわからないのと同じです。
ベースにする経営理論は、マーケティングのコトラーでも、競争戦略のポーターでもかまいません。
あるいは、古典の論語でも兵法でも良いと思います。
「読書百遍 義 自ずから見る」という諺もあるように、ご自身に合ったものを100回精読すれば、その本質が理解できるようになります。
私の場合、それがドラッカーでした。
ドラッカー理論をベースにして他の本を読んでいますので、その本の内容の位置づけが明確であり、ドラッカーで足りない部分を肉付けしてくれます。
もうすぐ、夏季休暇、この期に「読書百遍」を始めてはいかがでしょうか?
見える景色が変わってきて、より高みの経営に到達できるようになると思います。
2024/07/31 |