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キーエンス 高収益の秘密

キーエンス 高収益の秘密


制御機器大手のキーエンスは、2021年4~9月期決算で最高益を更新しました。
同社は、粗利益率は80%を超え、営業利益率も50%超で国内屈指の高収益体質です。
このような業績を生み出す競合企業との大きな違いは、3つの「スピード」と3つの「止まらないこと」にあります。

粗利益率が高い理由

まず同社は、新商品の約70%を「世界初」「業界初」と銘打っており、他社との価格比較ができません。
そのため、値引き競争に陥ることはありません。

しかし、市場に後発で商品を投入して安値で勝負することもあります。
同社はかつて、汎用センサーを中心に扱っていましたが、その後、測定機や画像処理センサー、電子制御機器などは、他社を追う形で参入しました。
参入時は、顧客に採用してもらうため安値でアピールしていました。
その後、機能を向上させた新商品を素早く出し続けることで、徐々に価格を上げていったのです。
そうしているうちに、先発メーカーの商品からキーエンスに切り替えてもらい、徐々に販売額を伸ばしていきます。
ただし、競合各社も、独自の商品・サービスの開発に力を入れています。

では、キーエンスと他社との真の違いはどこにあるのでしょうか?

3つの「スピード」

キーエンスの商品の大半は、工場の製造設備で使うものです。
設備を設計・管理するユーザーにとって、最も重要なのは「生産性」です。

たとえば、新設備の導入によって、リードタイムや工数を削減できれば生産性は高まります。
しかし、せっかくの新設備も、壊れてしまったら前後の工程も止めざるを得なくなり、生産性は下がります。
納期が遅れると顧客の信用を失い、後の販売機会を失う可能性もあります。
したがって、キーエンスが生産性向上のニーズに応え続けるには、「スピード」と「止まらないこと」が重要なポイントになります。
「スピード」は
  1. 提案のスピード
  2. 納品のスピード
  3. 新商品投入のスピード
の3つの速さをさします。
同社は、顧客の相談に対して素早く提案・納品するほか、新商品を頻繁に発売することで「顧客の課題を先取りして解決してくれる」と評価されています。

3つの「止まらないこと」

もうひとつの差別化の「止まらないこと」は、製造現場で最も重視されます。
生産ラインを止めないためには、
  1. 装置が壊れない
  2. 装置間の連動が途絶えない
  3. 壊れたらすぐに代わりの製品を用意できる
ことなどが重要になります。
これらの点でも同社は優れているので、ユーザーは多少高価でも他社に切り替えにくいのです。

さらに、顧客からの代金回収を急がないのも特徴です。
キーエンスの「売上債権回転期間」は、2020年度で約4カ月ですが、製造業の平均は2.0カ月未満です。
この期間が長いほど、顧客にとって支払いの猶予期間が長いことを意味します。
この点でもキーエンスの受注競争力があります。

コスト削減の徹底

競合他社との差異化ばかりでは、卓越した高収益の理由は説明できません。
キーエンスは並行してコストを低く抑えることにも成功しています。
低コストについては、自社で工場を持たず生産を外部に委託する「ファブレス」だからという説明が多いのですが、それだけではコスト削減を徹底できません。
製造を外注することでコストを下げるには、
  1. 製造が難しい製品は設計しない
  2. 閑散期や大量・安定発注など、安くても外注先が製造受託したくなるような方法をとる
  3. 標準部品は自社ベースで大量購入する、などの工夫が必要
キーエンスはこれらを実行しているのでしょう。

そのほか、キーエンスは基本的に特注品を受け付けません。
顧客の要望に応じて、製品をカスタマイズすれば高い単価が期待できますが、コストも高くなります。
カスタマイズは受け付けないのですが、他社よりも短いサイクルで新商品を投入することで、多様な顧客ニーズに応えています。

もっと詳しくは動画(9分51秒)でどうぞ。

*この記事は、21.11.19付け 日経産業新聞 ネットニュースを基にしています。

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2021/12/20

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