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ドラッカーの生態的ニッチ戦略 001 中小企業経営の原則 その1
いかに余儀なく見えようとも、またいかに風潮になっていようとも、基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻する。
基本と原則は、状況に応じて適用すべきものであっても、断じて破棄してはならないものである。
(エッセンシャル版 マネジメント)
戦略について
戦略を経営学的に表現すると、長期・総合的な会社の方向性を決めることです。また、ドラッカー的な表現では、まず、前提となる経営環境(どのようなチャンスがあるか)、目的(何をチャンスにしたいか)、自社の強み(何をチャンスにできるか)を診断します。
そのうえで、「対象市場(どのようなニーズに対して)、取扱商品(どのような商品やサービスで)、流通チャネル(顧客に到達するルート)を決めること」となります。
さて、小さな会社は、かぎられた経営資源(ヒト・モノ・カネ)しか持ち合わせがありません。特に、「企業は人なり」と言われている「優秀な人材」にかぎりがあります。
したがって、小さな会社は、「どのような顧客の、どのようなニーズであれば、他社より上手に応えることができるか」を決めなければなりません。
言い換えれば、「どのような顧客の、どのようなニーズに、どのような方法で応えると、自社の望む条件で買ってもらえるか」を考えて、仕組みをつくらなければなりません。
その戦略について、ドラッカーは、著書のなかで次のように述べています。
中小企業には、「戦略」が必要である。会社は、今期の業績を上げながら、来期以降の業績を上げる準備をしなければなりません。
中小企業は限界企業になるわけにはいかない。
だが限界企業になる危険は小企業につきまとって離れない。
したがって中小企業は、なんらかの特色を発揮する戦略を考え出さなければならない。
中小企業は、生物学の用語でいえば、自己にとって有利な、したがってまた競争にも耐えうる特定の生態的な場所(ニッチ)を見つけ出さなければならない。
場合によっては独自の市場・・・その市場が、地理的条件、消費者の欲求、消費者の価値観のいずれかによって規定される市場であれ・・・における主導的地位が、そういった特定の生態条件を備えた場所の一つかもしれない。
また、サービス能力で抜きん出ることも一つの戦略なら、特殊技術をもつことも一つの戦略だろう。(マネジメント)
そのためのチャンスも探さなければなりません。
しかも、これら3つのことを、かぎられたヒト・モノ・カネ・時間で、今日、同時に実行しなければならないのです。
したがって、これら3つのことを別々に行うことはできません。
3つの仕事を1つの仕事として統一しなければなりません。
この3つの仕事を1つの仕事として行うようにするのが戦略です。
つまり、戦略がなければ3つの仕事で良い結果を残すことができないと言うことです。
また、戦略は「スローガン」ではありません。ガードレールのようなものです。
戦略(ガードレール)に沿って進めば、意図する道から外れることはありません。
したがって、良い戦略は目的地に導いてくれますが、悪い戦略はあなたの会社を破綻へと導きます。
しかし、リスクを冒したくないからと言って、戦略をつくらなければ、環境経営・競合・顧客に振り回されたあげくに、経営が破綻(はたん)してしまうでしょう。
さらに、戦略とは、「こうすればうまくいくはずだ」という仮説だと考えてください。
仮説ですから、「ぜったいに成功する!」というものではありません。
「たぶん、選択肢のなかでは、もっとも成功する確率が高いもの」ぐらいに考えておく必要があります。
=中小企業の経営の原則 2 に続く=
*図表と中小企業の事例は著書に記載します。
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