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ドラッカーの生態的ニッチ戦略 016 参入障壁(マネ防止策)
生態的ニッチを確保するために
非競争で高収益事業を展開できる生態的ニッチは、自社が存続するための最適な経営環境です。つまり、「適所」です。
適所は、見つけるとともに、その状況を維持しなければなりません。
そのために、他社が入ってこないように囲いをしたり、塀や壁をつくったりするわけです。
それを参入障壁(マネ防止策)と言います。
ちなみに、参入障壁は「事業」に用い、マネ防止策は「商品」に用いる表現です。
その参入障壁(マネ防止策)には、「隔離」「無関心」「ジレンマ」の3つの方法があります。
隔離する
隔離とは、あるものを他とへだてて離すことです。隔離するには、法律の力を借りるのが効果的です。
具体的には、
- 発明した商品や技術を守る特許
- 商品やサービスの提供者を認識できるようにするために使用する標識(文字・図形・記号・ロゴマークなど)を守る登録商標
- 美術・音楽・文芸・など作者の思想や感情が表現された著作物を守る著作権
売れそうな商品やサービスを開発したときには、必ず左記の3つのどれかで、参入障壁(マネ防止策)をつくってください。
たとえ自社が開発した商品でも、他社が特許や商標を取得すると、自社が使えなくなってしまいます。
世の中には、他社の特許や商標の未申請のヒット商品をさがして先に特許や商標を取得し、その使用権を買い取らせる、あるいは、使用料をとることをビジネスにしている悪い人もいます。
無関心の状況をつくる
会社の多くは、業界の常識の範囲内で経営しています。したがって、
- 業界の異常識・非常識と思われるビジネスモデルには関心を示しません
- また、儲かる仕組みが分からなければ関心を示しません
- そして、めんどうくさいことにも手を出そうとしません
- さらに、大企業は、市場規模が小さければ関心を示しません
ジレンマの状況をつくる
ジレンマとは、ある問題に対して2つの選択肢が存在し、そのどちらを選んでも何らかの不利益があり、態度を決めかねる状態(ウィキペディアより)を指します。
つまり、マネ(新規参入)したいけど、マネしたら既存の商品のブランドやコンセプトと矛盾してしまう状況をつくりだすのです。
この方法は、主にその事業や商品のトップブランドに効果があります。
トップブランド商品と差別化を図りたいときに効果的です。
たとえば、いつ飲んでもおいしいコカ・コーラの缶コーヒー『ジョージア』に対して、アサヒ飲料は、朝飲んでおいしい缶コーヒー『アサヒモーニングショット』をぶつけました。
アサヒモーニングショットが大ヒットしたのですが、コカ・コーラは本気で追随しませんでした。
それは、缶コーヒーのトップブランドである「いつ飲んでもおいしいジョージア」があるのに、朝飲んでおいしいをウリにする類似商品を出すと、「いつ飲んでもおいしい」を否定することになるからです。
また、トップブランド商品は、価格競争には参加しません。
参加すると、市場シェアがもっとも大きいので、もっとも利益を失うことになるからです。
=続く=
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