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チャットGPTは脅威か、便利な道具か?

チャットGPTは脅威か、便利な道具か?
  社会を観察するときの着眼点は、「何が起こったか」「本当の変化は何か」「それが何を意味するか」です。
 

現在の経営環境は?

経営環境を見るときは、顧客、市場だけでなく、社会や世界から見なければ、「木を見て森を見ず」の状況になってしまいます。
では、世界で何が起こっているのか?
これを、ドラッカーの文章を引用すると分かりやすくなります。
西洋の歴史では、何百年かに一度、際立った転換が行われる。
社会は数十年かけて、次の時代のために身繕いをする。
世界観を変え、価値観を変え、社会と政治の構造を変え、技芸を変え、機関を変える。
そして50年後には、新しい世界が生まれる。
その新しい世界に生まれた世代にとっては、祖父母が生き、父母が生まれた世界は想像さえできないものとなる。
我々の時代は、まさにそのような転換期のさなかにある。
『P・F・ドラッカー経営論』(p.506)
今の変化が起こりだしたのが1970年頃です。
つまり、ドラッカーのいう「50年後」が今というわけです。
 

過去を振り返ってみること

過去にも、「○○が出てきたから、××は消滅する」と言われたことがたくさんあります。
しかし、多くの場合、その通りになっていません。
たとえば、電子書籍が出だした頃は、紙の書籍はなくなると言われていましたが、2022年でも書籍に関しては、電子書籍のシェアは6.4%にすぎません。
また、大型スーパーやショッピングモールの出現時にも個人商店や零細商店はなくなると言われましたが、顧客に支持されている商店は生き残っています。
さらに、今から十数年前に、AIによってなくなる職業が紹介されましたが、ニーズに応えている職業人は残っています。
あるいは、碁も将棋もAIには勝てませんが、碁も将棋もプロは消滅しませんでした。

AIなどの情報機器は、機械や工具と同じように道具にすぎません。
あくまでも人が従者であって、人の主人ではないのです。

近い将来には、SF小説(たとえば、ターミネーター)のようにAIが人間を支配することが現実になるかもしれません。
しかしそれは、隕石の衝突と同じように、一中小・零細企業には対処のしようがありません。

したがって、現在を生きる中小・零細企業は、より高性能になる道具(たとえばチャットGPT)を、「どのように使いこなせば、成果に結びつけることができるか?」に焦点を合わせることです。
 

チャットGPTも使い手次第

道具が悪ければ、それなりの仕事しかできません。
逆にどんなに優れた道具でも、使う人の能力が低ければ、それなりの成果しか上げられません。

AIは優れた道具になりえます。
チャットGPTも、優れた道具のひとつだと捉えましょう。
今は、チャットGPTを使いこなすことで、差別化できるかもしれません。
しかし、多くの人がチャットGPTを使うようになると、それが当たり前になって、使わないと落ちこぼれるかもしれませんが、使うだけでは差別化には結び付かなくなります。
つまり、チャットGPTは道具ですから、使う人によって差がつくと考えたほうが現実的です。
 

差別化を図るのは人の能力

機械やAIが人間のすべての仕事にとって代わることはありません。
人でしかできない仕事は最後まで人に残ります。
機械やAIに置き換わるのは、人よりも機械やAIがやったほうが生産的な仕事です。
あるいは、非人間的な仕事です。
たとえば、特徴がない商品製の造や販売、マニュアルに近い報告書、危険な仕事、汚い仕事、単調で反復的なルーティンワークなど、人が苦手な仕事は人がしなくて済むようになります。
したがって、レベルが低い知識労働やサービス労働、肉体労働は、人の手から離れていきます。

現在の人口構造からみれば、機械やAIは経済成長の救世主です。
無関係のモノを結合させて新しいものを生み出すイノベーションのような仕事は、しばらくの間は、人間固有の仕事として残ります。
その際、どのようなデータや情報が必要になるかを判断してAIに集めさせるようにすれば、生産性はさらにあがります。
 

知識とは何か

ここでも、ドラッカーの見解を引用してみましょう。
知識は、本の中にない。
本の中にあるものは情報である。
知識とはそれらの情報を仕事や成果に結びつける能力である。
そして知識は、人間すなわちその頭脳と技能のうちにのみ存在する。
『創造する経営者』(p.144)
AIも、その一つであるチャットGPTも、知識そのものではなく、本と同じように情報にすぎません。
知識、すなわち「成果を上げる能力」は、あなたの頭脳と技能のうちにあるのです。


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2023/05/09

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