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事業戦略 ポジションを確保する
中小企業は「万人受け」では特徴を打ち出せない
小企業は、生物学の用語でいえば、自己にとって有利な、また、競争に耐えうるような生態的空間を見つけ出さなければならない。
しかし、現実には、ほとんどの小企業が、戦略をもたない。
ほとんどの小企業が、機会中心ではなく問題中心である。
問題から問題に追われて毎日を送っている。
だからこそ小企業の多くが、成功しないのである。
『抄訳 マネジメント』p.361
そもそも、万人受けは現実的か
ブランドが好きという人がいる一方で、ブランドが嫌いという人もいます。また、甘いものが好きという人がいる一方で、甘いものは嫌いという人がいます。
あるいは、にぎやかな所が好きという人がいる一方で、静かな所が好きという人がいます。
万人受けする商品やサービスとは、このような相反する人たちすべてに買ってもらえる商品やサービスでありたいと願うことです。
ありえないことですね。
しかし、中小企業の経営者で、「〇〇の人向けの商品やサービスです」という人はほとんどいません。
逆に、「できるだけ多くの人に買ってもらいたい」と思っています。
それが、商品やサービスに特徴が打ち出せない根本的な理由です。
一点を照らす「スポットライト」の発想
マネジメントの父と言われたドラッカーは「選択と集中しなさい」と言い、マーケティングの父と言われているコトラーは「ターゲティングしなさい」と言い、有名なコンサルティングのライズは「フォーカスしなさい」と言い、比叡山延暦寺の開祖 最澄は「一隅を照らす」と言いました。表現は違いますが、いずれも「万人受け」とは反対の考え方です。
トヨタ自動車のような世界有数の会社でさえ、基本的には自動車だけしかつくっていません。
トヨタ自動車ほどの経営資源(ヒト・モノ・カネ・ノウハウ・時間)がない中小企業が多角化を進めても、高収益会社になれないと腹をくくることです。
それよりも、限定的な市場(ニーズ)に焦点を当て、そこをスポットライトで照らすような強いメッセージを発信できるビジネスを展開することです。
言い換えると、マニアックな人に、ファンや信者になってもらえるような商品・サービス・提供方法を設計し、メッセージを発信しつづけることで、存在感を示すようにするのです。
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2020/10/02 |