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ニッチ先生の見聞思 栄枯盛衰
原油国の憂鬱
1973年、石油輸出国機構(OPEC)が、原油価格を1バレル(約159リットル)あたり3.01ドルから5.12ドルへ、さらに1974年には11.65ドルに引き上げました。これにより、エネルギーを石油に頼っていた先進諸国は石油危機に陥りました。
一方、産油国は潤い、わずか1年後には、OPEC諸国の国際収支の黒字額の合計が、10億ドルから700億ドルに跳ね上がりました。
その後、原油価格は100ドルを超えたこともありました。
このようにして生み出したお金は、オイルマネーとして世界を代表する投資資金となり、さらにOPEC諸国に富をもたらし続けました。
しかし、OPEC加盟国以外にも産油国が増えたうえに、シェールオイル(岩に含まれている原油)が低コストで産出できるようになったため、OPECの市場シェアは35%を割り込むようになり、価格決定権がなくなってしまいました。
そこで、シェア確保のために量産を続けた結果、原油価格が暴落し、とうとう1バレルあたり30ドルを割り込む事態も発生したのです。
現在も乱高下が続いており5月の20ドルから、6月は40ドルに急騰しています。
しかし、明るい未来が開けているわけではなさそうです。
ヤマニ氏の警句
40年以上も「我が世の春」を謳歌してきたOPEC諸国にも、厳しい冬がきています。そこで思い出されるのが、
石器時代は石がなくなったから終わったのではない。(青銅器や鉄器など)石に代わる新しい技術が生まれたから終わった。石油も同じだです。
=サウジアラビア ヤマニ元石油相=
既存のものは古くなります。
また、それ自身は進化を続けているかもしれませんが、別の方法で、それを代替できるものが現れれば、商品価値を失い、市場から淘汰されてしまいます。
市場は、個別企業の都合(盛衰や資金繰りなど)には、まったく関心がないからです。
あなたの会社を取り巻く環境にも、当てはまるのではありませんか?
栄枯盛衰の理(ことわり)
この世の中に、永遠のものなどありません。まして、ビジネスの世界においては、なおさらです。
多少の時間の長短はあっても、栄えていたものは衰え、やがて寿命がつきてしまいます。
しtががって、既存のものを「改善・改良」することも重要な要素ですが、新しい環境への適合は、さらに重要です。
ところで、栄枯盛衰は必然ですが、市場を変えたり、商品の意味を変えたり、用途を変えたり、商品名を変えたりするだけで、「枯・衰」にならずに、「栄・盛の」期間を延長することは可能です。
たとえば、ソロバンがその事例です。計算器としての寿命は尽きていますが、考具(脳トレ)として再生しています。
このように考えれば、ほとんどの商品は、廃棄やコモディティ化せずに済みます。
ということは、既存の事業で「理想とする粗利益率を確保する」ことも可能だということです。
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2020/07/31 |