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モノづくり企業の知的情報の集め方

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イギリス空軍に学ぶ企業戦略

80年ほど前の第二次世界大戦のとき、ナチスドイツの航空機によるイギリス本土への攻撃で、イギリスは風前の灯火(ともしび)と思われていました。
なぜなら、押し寄せるドイツ空軍3,000機強で、迎え撃つイギリス空軍の戦闘機は1,000機弱だったからです。
しかし、イギリスは約2カ月の戦いで1,200機を撃墜し勝利しました。
勝利のカギは、イギリスが導入していたレーダーと統合防空システムでした。

イギリス軍は、レーダーでドイツ機をとらえて、編隊の規模や攻撃目標を予測しました。
それを基に、司令部は戦闘機を有利な迎撃地点に誘導しました。
知性な情報を活用したおかげで、強大な敵と互角以上に戦うことができたのです。

現在の日本企業の厳しい経営環境は、当時のイギリスに似ているのではないでしょうか。
時価総額、戦略、ビジネスモデルで、米国、中国の先進企業に後れを取り、研究開発やイノベーションでも後れを取っています。

これらを、「すでに起こった未来」ととらえると、日本の将来は、かつてのイギリスのように、「風前の灯火(ともしび)」と言えそうです。
(21.9.6付け 日本経済新聞 朝刊 p.5の記事より、一部 省略・加筆・修正)

生態的ニッチを確保する

遅れをとっている日本が、米国や中国の先進企業に、正面対決を挑んでも、勝てる見込みはほとんどありません。

今、日本企業が必要としているのは、客観的な情報を集めるレーダーです。
しかも、すでに後れを取っている日本が勝つためには、全面戦争ではなく、日本が強みを発揮できる分野(トップに立てる生存領域=生態的ニッチ)での戦いに絞り込むためのレーダーです。

そして、レーダーで収集した情報を基に、どの分野で戦うかを決める司令部(経営トップを含むプロジェクトチーム)です。
以上は日本の話ですが、考え方は、そのままモノづくり中小企業にも当てはまります。

知的財産を分析して創造的に模倣する

現在、レーダーに相当するのが、知的財産などの分析を経営判断に生かす「IP(知財)ランドスケープ」です。

これは、特許の出願状況や論文、メディアなど各種情報を組み合わせて分析する方法です。
たとえば、自社に関連する出願された特許情報を閲覧し、他社が、
  • どんな分野で
  • どのような技術を使った商品で
  • どんなニーズに応えようとしているのか
を知ることで、自社にどのようなチャンスがあるかが見えてきます。

中小企業では、論文の分析などは大変ですから、特許出願情報やメディアの情報を活用するといいでしょう。
自社だけで難しいようであれば「優秀な弁理士さん(特許事務所)」の力を借りくることも考えてください。
なお、「IP(知財)ランドスケープ」を、入門的に知りたい方は、『小さな会社を強くする「知的財産」戦略の教室』(崎山博教著)が参考になります。

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2021/09/24

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