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ニッチ戦略 ブランディング

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寅さんに殉(じゅん)じた渥美清さん

役者さんには、「当たり役」というのがあります。
「〇〇と言えば、誰々」というようにブランディングされた状態です。
たとえば、『男はつらいよ』の主人公、「寅さん」がその代表的な例でしょう。
あまりに「当たり役」だったため、人気シリーズにも関わらず、渥美清さんが亡くなったあと、別の俳優さんで『男はつらいよ』の続編を制作することができませんでした。
また、渥美清さん自身も、寅さんのイメージが強すぎたために、他の映画やテレビドラマに出演することが難しかったようです。
テレビドラマでいえば、『相棒』に出演している水谷豊さんの「杉下右京」がそれに近いかもしれません。
20年も続いているドラマで、「水谷豊さん=杉下右京」のイメージができあがっています。
 

科学と芸術

ドラッカーは、「会社経営は、科学(science)でもあり、芸術(art)でもある」と言っています。
科学とは、体系化された知識や経験の総称です。
一方、経営における芸術とは、企業と顧客が相互に作用し合うことで、心理的・経済的・機能的な価値を生み出す活動と考えてよいでしょう。
つまり、科学はすべての会社に共通する基礎部分で、芸術は科学をベースにつくり出される個別企業の特徴とそれを価値とする顧客との共創となります。
したがって、科学の部分(経営の基本)がしっかりしていないと、良い経営にはなりませんが、芸術の部分がないとファン・信者ができませんので、高業績をあげることができません。
経営を科学するということと、芸術の部分を磨くということは、業績をあげるための【車の両輪】みたいなものです。
 

自分の芸風を確立する

俳優さんのなかには、どのような役も器用にこなす人がいます。
しかし、超一流になると、だいたいキャラクターが確立されています。
それで多くのファンを惹きつけています。
もちろん、大好きなファンがいるということは、反対に、大嫌いな人もいるということです。特徴を出すとは、そういうことです。
たとえば、無印良品は、当初、特徴がないようにシンプルさを「売り」にしたのですが、いつの間にか、そのシンプルさが特徴になって、熱烈なファンを惹きつけるようになりました。
芸術は、英語では「art style」となりますが、会社においての芸術は「business style」と訳してよいでしょう。
つまり、会社として【芸風】(ブランド)を確立するということです。
孤高(ここう)の人のイメージが強い高倉健さんに「寅さん」は務まらないでしょうが、渥美清さんに高倉健さんが主演した『網走番外地』『八甲田山』『幸せの黄色いハンカチ』などはイメージできません。
これが確立された芸風(ブランディング)と言うものです。
特定のファンや信者の方々には、なくてはならない存在としてブランディングすることが、厳しい経営環境で、高収益企業として勝ち残る唯一の方法です。
それが、「オンリーワンになる」ということです。
 

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2020/05/06

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