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事業戦略 非競争の市場を創る

非競争の市場を創る
 

既存市場を細分化する意義

「新規の市場を開拓する=別の市場に出て行くこと」と考えがちです。
しかし、「新規市場=これまで対応していなかった市場」ととらえ直すと、まったく対応が違ってきます。
「勝って知ったる他人の家」という諺がありますが、「自分の家」のほうが、より細かく知っているはずです。

「隣の芝生は青い」とか、「隣の花は赤い」と言われているように、とかく他の市場はよさそうに見えるものです。
しかし、そこには、現在、対応している市場と同じように、過激な競争が行われています。その競争が外部から見えないだけです。

そこで、他の市場に出て行くのではなく、現在の市場(ニーズ)を細かく分けていくと、お客様のニーズに応えきれていないニッチな市場がたくさん現れてきます。
それは、肉眼では見えなかったものが、虫メガネや顕微鏡でみると見えてくるようなものです。

そのなかから、あなたの会社の強みを活かせ、かつ、お客様が熱心に求めているけれど他社が対応を渋っているような「めんどうくさいニーズ」や「現在の価格、現在のやり方では儲かりそうにないニーズ」に焦点を絞って対応します。

そうすると、ニーズはあるのに対応するライバルがいないという、最高の事業環境になりますので、粗利益率も高くなります。
 

すべての市場はニッチ市場の集まりである

そもそも、市場というのは、小さなニーズの集まりです。
小さな支流が集まって大河になるようなものです。
たとえば、自動車市場は、商用車・乗用車・特殊車両にわけることができます。
そのなかで、乗用車は、大型車・中型車・小型車・軽自動車に分けることができ、さらに、用途別・スタイル別・価格別に分けることができます。
このような小さなニーズに対応したものの総称が自動車市場なのです。
 

既存の市場のなかには手薄な市場がたくさんある

あなたは、富山県にある光岡自動車株式会社という会社を知っていますか。
同社のホームページによると、2019年12月期の売上高は269億円、開発自動車(メーカー部門)の売上げは約20億円にすぎない、日本で10番目の自動車メーカーです。

自動車は量産品というのが常識ですが、同社の車は量産品ではありません。
なんと、一日に一台しか製造していないのです。
こうしてつくられた個性的なクルマを求めるお客様に支えられています。
このような非効率でめんどうくさい市場には、トヨタやホンダのような大手の自動車メーカーは絶対に進出してきません。

また、クルマを買うときに、トヨタにしようか、ホンダにしようか、光岡自動車にしようかと考える人もいません。
したがって、非競争のオンリーワン市場になっています。

自動車市場でも、このような状態を創り出すことは可能だということを光岡自動車は教えてくれています。
量産品が常識の自動車業界でもオンリーワンが可能なのですから、あなたの会社が対象にしている市場でも、独自化は可能ですよね?
 

業者都合の常識で手付かずの市場もたくさんある

会社は、つねに効率を追求しています。
会社である以上、それは必要不可欠です。
しかし、効率を最優先してはいけません。
とくに、お客様に直接接しない担当の人たちは、自分の都合を優先した効率を追求しがちです。
しかし、お客様あっての会社です。
したがって、すべての部門・担当で、お客様満足を実現するため、あるいは、実現した後の効率の追求でなければなりません。

このことは、業界全体でも、しばしば見受けられることです。
下請けや出入り業者扱いされている会社に対しては、元請けや販売先がルール(常識)を決めます。
そのルールは、当然ながら、自分たちの都合がよいように決めます。

したがって、めんどうくさいこと、今までのやり方では儲かりそうにないことは、やりたがりません。
そこに、「ニーズはあるが、対応している会社がない」という手付かずの市場があるのです。
 
* 粗利益率アップに関心がある方はこちらもどうぞ!
2020/09/30

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