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ドラッカーの未来創造論
生存者バイアス
2022.12.6付けの日本経済新聞の記事によりますと、多くの人が、世界のビジネス界を牛耳ると信じていたGAFA(グーグル、アップル、フェスブック、アマゾン)の成長率が落ちてきたそうです。これまで2桁の成長率が普通だったものが、1桁前後の成長率になりました。
いつまでも続くと思われていたこれら企業の成長も、他の先行した業界と同じような成長曲線(S字曲線)を描き出したというのです。
GAFAの成長の歴史といっても、たかだか、ここ20年のことです。
しかし、そのたった20年が常態だと思い込んでしまうのが、バイアス(偏見や思い込み)というものです。
生存者バイアスとは、「激しい競争を生き残った生物や企業は万能であり、繁栄も永遠に続くように感じてしまう錯覚のこと」です。
生存者バイアスに関するドラッカーの見解
ドラッカーの『イノベーションと企業家精神』のなかにも、イノベーションのチャンスとしての市場と産業の構造変化について、次のような記述があります。産業や市場の構造は非常に安定的に見えるため、内部の人間は、そのような状態こそ秩序であり、自然であり永久に続くものと考える。
しかし現実には産業や市場の構造は脆弱である。
小さな力によって簡単にしかも瞬時に解体する。
その時その産業に属するあらゆるものが直ちに行動を起こさなければならなくなる。
昨日までと同じ仕事のやり方をしていたのでは惨事を避けられない。
つぶれる。少なくともトップの地位を失う。その地位はほとんど取り戻せない。
産業と市場の構造変化はイノベーションの機会である。それは業界に関するすべてのものに企業家精神を要求する。
あらゆる者が「我が社の事業は何か」を問わなければならなくなる。新しい答えを出さなければならなくなる。
歴史は繰り返す
1455年、グーテンベルグが活版印刷を発明しました。そのとき、最初に利益をあげたのは印刷機械業者でした。
次に利益をあげたのが印刷業者でした。
そして、印刷が普及するとともに、それらの業者の利益は落ち着き、やがて落ち込みました。
その後、利益をあげだしたのが、印刷物を商品や販売促進に活用した多くの事業者でした。
さらに、印刷物というコミュニケーション手段が普及したことで、印刷物とは直接関係のない分野で、新しい産業や文化が芽生えることになりました。
ITやインターネットの影響の推移は、印刷の歴史を同じような推移をしています。
つまり、すべての企業や個人にとって、ITやインターネットを活用することでのイノベーションのチャンスが到来したのです。
自ら未来を創り出す
未来を予想することは人間にも機械にもできません。 たとえば、AIの予測はビッグデータ、つまり、過去の大量の情報を集めて分析するだけです。したがって、将来を創り出すものではありません。
しかし、だれにも未来を予測することができないのであれば、あなたが今とは違う未来を創り出すことも可能ということになります。
たとえば、本田宗一郎は、未来を予測したのではなく、原動付き自動車を開発したことで、それまで存在しなかった本田技研工業を創り出しました。
これが企業家精神です。
このような観点から、自社の事業を見直してみてください。
そして、ニッチ・シフト、リ・ポジショニング、ブルーオーシャン・シフトと表現される「事業の再構築」に取り組んでみてください。
明るい未来を創り出すことができるかもしれません。
弊社には、ドラッカーのマーケティングとイノベーションを応用する【顧客の創造 支援サービス】があり、未来を創り出すお手伝いをしています。
関心があれば、ぜひ、お問い合わせください。
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2022/12/06 |