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値上げを科学する その1
値上げしたくてもできない理由
ほとんどの経営者は、値上げしたいと思っています。しかし、値上げしていない。
それは、値上げの影響が怖いからですよね?
◆お客様が買わなくなってしまうのではないか?
◆競争相手に乗り換えられるのではないか?
つまり、値上げした結果が見えないから怖いとも言えます。
あるいは、値上げの手順がわからないから、不安ということでもあります。
値上げを科学するとは
科学とは、一定の目的・方法のもとに種々の事象を認識する活動です。値上げを科学することで、メカニズムがわかってしまえば不安や恐怖心が取り除かれ、自信をもって値上げできるようになります。
このブログは、値上げの手順を「見える化」することで、値上げに対する不安と恐怖心を取り除くことを目的としています。
通常、科学するときは、定量的な手段を用います。
しかし、経営には、定性的な要素がたぶんに含まれています。
そのことを、『マネジメントの父』と言われているドラッカーは、「経営は、科学(サイエンス)と芸術(アート)の両方の要素を持っている」と表現しています。
研究者(学者)は、定性的な情報もAIやコンピュータを使って数値化しようとします。
しかし、そもそも数値化する段階ですでに「仮説という判断」が入っているので、真の実態を表すことができません。
ドラッカーによると、「統計が当てにできないことを、一番知っているのは統計学者」だそうです。
ニッチ先生は、定性的な質問を繰り返すことで、値上げできる状況を明らかにしていけると考えています。
中小企業経営では、値上げできるポジショニングを明らかにするだけで充分です。
市場地位の4類型
市場での戦い方には4つの方法(ポジショニング)があります。それがリーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチャーです。
リーダー
大きな市場でトップを狙うのがリーダーです。リーダーは、価格競争に巻き込まれないようにブランドを重視したマーケティングを行います。
なお、チャレンジャーが新商品を出したときには、類似商品を投入して同質競争を仕掛けてきます。
たとえ、リーダーといえども、競争環境のなかで既存商品の値上げに踏み切るのはリスクが大きいので、なかなか値上げすることはできません。
チャレンジャー
そのリーダーに挑戦して、リーターの地位を奪おうとするのがチャレンジャーです。主に差別化でリーダーに挑戦します。
あるいは、リーター商品のコンセプトに矛盾するようなコンセプトの商品を投入して、同質競争を阻止しようとします。
たとえば、缶コーヒーでは、コカ・コーラの「いつ飲んでも美味しいジョージ」に対して、アサヒ飲料は「朝専用の缶コーヒー」を投入して、一定のシェアを確保しました。
なお、差別化には「価格によるイメージの差別化」もあります。
新商品では、高価格の商品を投入することもありますが、それもリーダーによってすぐに模倣(マネ)されます。
また、原料の値上げなどによる環境変化がないかぎり、既存の商品を値上げすることはほとんどありません。
フォロワー
リーダーやチャレンジャーのマネをするのがフォロワーです。しょせん、二番煎じ、三番煎じの商品ですから、リーダーやチャレンジャーよりも低価格での販売になります。
したがって、値上げはできません。
ニッチャー
リーダー、チャレンジャー、フォロワーとは一線を画し、独自路線を行くのがニッチャーです。したがって、比較するものがないので値上げは可能です。
ただし、市場が大きくなるとリーダー、チャレンジャーと競合になる可能性が出てくるので、市場規模を大きくすることはできません。
したがって、どんなに売れても、あえてニッチ市場にとどまる勇気が必要になります。
高級スポーツカーのフェラーリがその好例です。
こうしたことを踏まえて、自社はどのポジショニングで市場に対応するのかを決めてください。
『値上げの手順』に関心がある方はこちらもどうぞ!
2021/02/24