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003 新しい市場を創造する
ドラッカーの名言
マネジメントは、単に経済の中に投げ出された一存在ではなく、経済を自らつくるものである。マネジメントは経済環境の主人公として、意識的かつ目的的な行動によってその環境を変えるかぎりにおいて、真にマネジメントをしているといえる。
したがって、事業のマネジメントとは目標によるマネジメントである。
これが本書のテーマである。
ドラッカー名著集『現代の経営(上)より』
解説
たしかに経営環境の変化に、迅速かつ合理的に対応することは必要です。しかし会社は、受動的な対応をするだけではありません。自らつくり出した商品やサービスで社会を変えていくこともできるのです。たとえば、自動車を創りだした会社がそうです。自動車は人々の活動範囲を一挙に広げました。
あるいは、コピー機がそうです。「コピー機をつくってくれ」と言われてつくったわけではありません。しかし、コピー機を生み出したことで、あらゆる事業所の事務の効率化に貢献しています。 会社には、社会を変革する力があります。ニーズに応えるだけでなく、ニーズを創り出すという一面もあることを認識しておくことです。
中小企業での活用法
会社の役割は、「ニーズに応えること」と「新たなニーズを創り出すこと」です。その結果として利益を得て、社員や取引先、地域に貢献することです。前回、第一の目標は「利益の獲得」と述べましたが、会社の目的は、ニーズに応え、新しいニーズを創り出して「顧客を創造すること」です。 その際、既存のニーズに応えるだけでは、どうしても競争が厳しくなります。
たとえ小さなニーズ(ニッチ市場)でもいいから自社で創り出すことができれば、差別化ではなく独自化が図れます。独自化こそ、利益を生み出す最良の方法です。
具体的には、市場や顧客の「困った!」や「もっと○○したい!」の解決方法としての商品やサービスを提供することが「ニーズに応える」ことです。
ニーズを創り出すとは、顧客を観察して、習慣化している不合理・非経済的な行動に対して、「こんなものが、あればもっと便利になるのに」とか「こんなやり方をすれば、生産性は向上するのに」といったものを、異業種などの既存の商品やサービスをひと工夫してマネ(創造的に模倣)して、商品化・サービス化することです。 このように、「ニーズを創り出すこと」を難しく考える必要はありません。顧客を中心に、よく見、よく聞き、質問するだけです。そこに潜在的なニーズが潜んでいるのですから。
2019/08/02