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ニッチ戦略 成功しても選択と集中が必要な理由
商品ラインの拡大の誘惑を抑え込む
事業が成功すると、その成功を活かしてもっと事業を成長させようとします。しかし、市場の一点にスポットライトを当てるような戦略で成功してきた事業が、商品ラインを増やすことによって焦点がぼやけてくるとともに、業績が悪化することがよくあります。
たとえば、ワークマンを見てみましょう。
同社は、現場作業用の衣類専門チェーン店として業績を伸ばしてきました。
そのため、「ワークマン=丈夫でセンスが良い作業服の店」というイメージが定着しています。
その同社が「高機能×低価格のサプライズをすべての人へ」をコンセプトにしたワークマンプラスという店名で、アウトドア、スポーツ、レインウエアに進出しました。
つまり、これからは、「ワークマン=作業服、アウトドア、スポーツ、レインウエアの専門店」となります。
しかも、これは現段階での商品ラインです。
今後は、ブランドと強みを活かしてさらに商品ラインを広げていくことでしょう。
そうなったとき、消費者は、ワークマン=何とイメージすればよいのでしょうか?
現在では、作業服ブランドでトップブランドと言えるでしょう。
しかし、アウトドアではスノーピークが、スポーツウエアではナイキが、レインウエアではザ・ノース・フェイスあたりがトップブランドでしょう。
このように、商品ラインを広げると、それぞれのトップブランドと競合するようになり、そのジャンルのトップブランドを追い越さないかぎり、特徴がない商品の集まりにすぎなくなっていくのです。
そうこうしているうちに、本丸である作業服の分野に、かつてのワークマンのような新興企業が、一点集中で参入して、ブランドを確立してきます。
すなわち、立場が逆転するのです。
そうなると、超優良企業が、普通の優良企業以下になってしまいます。
したがって、商品ラインの拡大は自制しなければなりません。
なお、商品ラインの拡大の誘惑には、次の5つがあります。
- 流通の視点・・・充実した流通チャネルを持っていると、そのチャネルを利用して、他の商品を売ろうと考えます。しかし、大手製造業の商品で、本当に売れているのは20%もありません。
- 製造ラインの視点・・・製造ラインの稼働に余裕があると、他の商品をつくろうと考えます。工場の稼働率をあげれば、そのぶんだけ固定費をまかなえると考え、魅力がない商品を製造して、逆に不良在庫をつくってしまうことになります。
- 販売力の視点・・・優れた販売力で成功した会社は、どんな商品でも売れると思うようになります。ダイエットジムからさまざまな分野の事業に手を出して失敗したライザップがその一例です。
- お客様のライフサイクルの視点・・・赤ちゃんを対象にした商品を提供している会社は、少子化による市場の縮小を脅威に感じています。そこで、赤ちゃんの成長にあわせて、ローティーン向け、ハイティーン向けの商品にラインを広げていきたくなります。しかし、その会社の強みは、赤ちゃん市場ですから、強みではない市場に進出することになります。
- 地理的問題の視点・・・ある地域で成功すると、他の地域でも成功すると思い、点から線、線から面の地域拡大を目指します。そうして、面展開が限界になると、現在の面を細分化しようとします。その結果、いきなりステーキのように、自店舗間で客の奪い合いがはじまり、業績が悪化します。コンビニ業界も同じような状況になっています。
たとえば、飲食店で成功すると、経営能力を超えた多店舗化を進めて破綻するケースは、あなたのまわりにもあるのではないでしょうか。
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2022/08/29