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中小企業経営 企業規模について考える


企業規模を計るものさし

企業規模というと、売上高、従業員数、支店・営業所・店舗の数などが頭に浮かびます。
しかし、ほんとうに企業規模を決めるのは、そのようなものではありません。
管理階層です。
たとえば、電気や水道の検針をする会社では、検針員が大多数を占めます。
したがって従業員が数千人いても管理階層は3層あるいは4層もあれば十分です。
管理階層が3層および4層の企業は、たとえ従業員が数千人いようとも大企業ではありません。

また、イタリアの高級スポーツカーを製造販売しているフェラーリ社は、売上高4,000億円、従業員3,000人超の大企業ですが、売上高数兆円以上、従業員数数万人以上が普通の自動車製造業界では、最も小さなメーカーです。
業界では超ニッチ企業にすぎません。

あるいは、従業員が1,000人の中堅企業でも、営業拠点や工場が世界中に点在していれば、数万人の大企業と同じ経営課題に直面する大企業です。

このような視点から、企業規模とは何か? 規模によってどのような課題や問題が発生するのかを考えてみましょう。

企業規模の4段階

個人事業

一人の人間が社長と販売を兼ね、もう一人が製造を担当し、もう一人が経理などを担当するのは個人事業のレベルです。したがって、個人事業=フリーランスとはかぎりません。

小企業

小企業では社長と従業員の間に1層の管理階層が存在します。
たとえば、製造業で、工場に職長が数人いても、リーダー的な存在であれば個人事業とみなします。
しかし、工場長、経理部長、販売部長がいれば、組織的な活動になりますので、立派な小企業です。
なお、留意点として、「名ばかり部長、名ばかり課長」が何人いても、ワンマン社長が、直接、指示を出すような企業は個人事業とみなします。

中企業

中企業になると社長は、現場から離れることになります。
もはや、特定部門の長を兼務することは許されません。
特定部門の長を兼ねると、担当部門に神経が集中して、企業全体に目が行き届かなくなるからです。

組織形態としては、小企業が採用するのは機能別組織(営業部、製造部などの縦割り組織)です。
また、大企業が採用するのは連邦型組織(A事業部、B事業部)です。
連邦型組織は、事業部制組織とも言われています。
ところが、中企業では、機能別組織にするには規模が大きすぎ、連邦型組織にするには規模が小さすぎるという問題が発生します。事業規模が中途半端なのです。
この解決策として、疑似(ぎじ)連邦制組織にする方法があります。
これは、事業部制組織の核となる販売部門や製造分門などの主要活動部門は独立採算にして、経理・財務・人事・総務などの間接部門は、本部に委託(アウトソーシング)するものです。

また、スタッフ部門は必要ないのですが、専門知識を持つ従業員(専門職)の必要は出てきます。
したがって、社長や機能別組織の長との関係をどのようにするかを検討しなければなりません。
あるいは、各種の専門職は外注するという方法もあります。

大企業

経営層の仕事は、チームを組んで行なう必要が出てきます。
もはや、トップが現場の業務をリアルタイムで知ることは不可能になります。
したがって、たとえば、目標の設定にしても次の階層にゆだねなければなりません。
しかも、企業規模によっては、何人かで分担する必要があります。
大企業では、事業部制組織が有利です。
責任体制が明確になりますし、最終的な意思決定を要するという意味で、後継者の育成にも優れているからです。

このような理由から、ほとんどの大企業では事業部制組織がとられています。
事業部制組織で重要なのは、強い本社機能です。
事業部の力が大きくなりすぎると、最適な経営資源の配分ができなくなってしまいます。

また、本社と事業部の関係にも十分に注意する必要があります。
と言うのも、事業部には責任と権限が付与されていますが、任せることと放任とは違います。
どこまで事業部の経営に介入するかの問題には正解がありません。
このあたりが、経営は科学(サイエンス)であり芸術(アート、センス)と言われているゆえんです。

この事業部制の権限と責任は、機能別組織にもあてはまる課題です。
自社に置き換えて、考えてみてください。

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2019/09/20

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