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値上げではなく、価値を伝える“価格戦略”の考え方

値上げではなく、価値を伝える“価格戦略”の考え方
「原価と人件費が上がったのでこの機に目標粗利益率まで値上げしたいが、顧客が離れそうで不安です」——中小モノづくり企業の現場で、最近とくに増えている相談です。
しかし、「値上げ=悪」「値上げ=難しい」という思い込みこそが、本質を見失わせているのかもしれません。
価格の本質とは、「原価」によって決まるものではなく、「顧客にとっての価値」によって決まるものです。
◆値上げは本当に“悪”なのか?
「値上げ=お客様に負担をかける」「値上げ=裏切り行為」という感情的な反応は根強くあります。けれど、冷静に考えてみてください。もしあなたが、同じ価格で提供を続けることで品質を維持できなくなったら、それこそ顧客にとっての“裏切り”ではないでしょうか。
値上げは、お客様の信頼に応えるために必要な判断であり、事業の持続可能性を守るための「責任ある経営判断」なのです。
◆値上げは本当に“難しい”のか?
たしかに、ただ「値段を上げました」と伝えれば、顧客から反発を受けるでしょう。 でも、「なぜ値上げするのか」「どんな価値を提供しているのか」を丁寧に伝えれば、理解してくれるお客様は必ずいます。
たとえば、他社にはできない加工精度、短納期対応、手厚いアフターフォロー……。顧客にとっての“ありがたさ”を、しっかり言語化できていますか? それを伝えずに「高い」と言われるのは、価値の伝え方が足りないだけかもしれません。
◆ドラッカーが語る「価格は価値の表現である」
「マネジメントの父」と呼ばれているピーター・ドラッカーは「価格とは、価値の表現である」と語っています。つまり、価格は“顧客が何に価値を感じているか”を映し出す鏡だということです。
したがって、価格を決めるとは、自社の提供価値を再定義し、それをどう伝えるかを設計する行為なのです。
これを「価格戦略」と呼びます。ただ数字を決めるのではなく、自社の強みと、顧客の“本当に困っていること”をつなぐ設計図。だからこそ、経営戦略の根幹に関わる重要な要素なのです。
◆“価格に自信が持てない”経営者へ
「うちは大企業のようにブランドがないから」「他社と比べて普通だから」と価格に自信を持てない声もあります。しかし、それでも選ばれ続けている理由が、必ずあるはずです。
顧客があなたを選んでいる理由=“価値”です。それを掘り起こし、言葉にし、価格として表現する。このプロセスこそが、「安くしてでも売る」から「価値に見合う価格で売る」への転換点なのです。
◆価格は「上げる」ものではなく、「設計し直す」もの
原価上昇への対応とは、「単なる値上げ」ではなく、「提供価値に見合った価格への再設計」。
むしろ、価格を見直すチャンスです。「なぜこの価格なのか?」を言語化できた企業こそが、顧客との関係性を深め、利益を確保しながら成長を実現していけるのです。
中小モノづくり企業が“戦わずして勝つ”ためには、競争ではなく“価値づくり”と“価格戦略”の再設計が必要です。
そのヒントを体系的にまとめたのが、私の新著『ドラッカーに学ぶ 中小モノづくり企業のためのニッチトップ戦略』です。
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2025/06/06