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ドラッカーの教え|成果をあげる能力は修得できる
基礎知識と基本プレーを修得せよ
まずは、ドラッカーの『経営者の条件』からの引用を読んでください。成果をあげることは一つの習慣である。実践的な能力の集積である。実践的な能力は修得することができる。それは単純である。あきれるほどに単純である。七歳の子供でも理解できる。しかし身につけるには努力を要する。
掛け算の九九を習ったときのように練習による修得が必要となる。六、六、三十六が何も考えずにいえる条件反射として身につかなければならない。習慣になるまで何度も反復しなければならない。
私は小さい頃、ピアノの先生にこういわれた。「残念ながら君はモーツァルトをシュナーベルのように弾けるようにはなりません。でも音階はシュナーベルと同じに弾かなければなりません」。 もう一つ、おそらくあまりに当たり前のことだったためであろうが、彼女が付け加えなかったことがあった。それは、偉大なピアニストたちでさえ、練習を重ねなかったならば、あのように弾けるようにはならなかったということである。
いかなる分野においても、普通の人であれば実践的な能力は身につけられる。卓越はできないかもしれない。卓越するには特別の才能が必要である。だが成果をあげるには人並みの能力があれば十分である。音階が弾ければよい。
マーケティング志向の重要さ|合格・不合格を峻別するもの
私は、30代の頃、中小企業診断士に合格しました。ただし、そのプロセスは、惨憺(さんたん)たるものでした。一次試験は独学で1回目で合格しました。しかし、二次試験は合格まで6回(=6年)もかかりました。 一次試験は記述式で、いわば暗記問題でした。真面目に勉強すればよかったのです。一方、二次試験は論述式でした。不合格の5回は書きたいことを書いていたのです。しかし、6回目は、これで最後の受験と思い、はじめて通信制の受験機関で学びました。 そのときの講師が優れた人で、初回の講義で次のように教えてくれました。
ご自身の考えで回答を作成したいのであれば、合格後に自由に作成してください。しかし、論述試験は、出題者が回答を想定して問題を出しています。したがって、出題者の意向に沿った回答しか、合格点はもらえません。つまり、試験にもマーケティング志向が必要なのです。
マーケティング志向がなかったのが、5回の不合格の根本的な原因だとわかりました。この教えに従って問題を解き、添削してもらうと、わずか2ヶ月足らずで合格圏内の点数がとれるようになりました。つまり、成果をあげる能力を修得できたのです。
なお、診断士として、また、その後の経営コンサルタントとしての活動において、6年間の勉強は知識(成果をあげる能力)となり、すごい財産になりました。短期間の詰め込み学習では忘れがちですが、長期間かけて学んだことはしっかりと身につきます。それを応用できたのです。
反復学習で強みを創る|無意識にできるまで繰り返す
また、経営コンサルタントとして開業し、経営を勉強し直すために入った大学院で、ドラッカーの本に出会いました。ドラッカーの代表作『現代の経営』の購入日は、裏表紙を見ると1998年10月18日となっています。それ以降、今日に至るまでの26年間、ドラッカー本の精読回数は317回におよびます。精読回数が100回を超えた頃、ドラッカー関連の解説書を出版することができました。今では、著書・監修書は44冊(合計発行部数225.6万冊)になっています。
また、コンサルティングや主宰する経営塾で多くの中小企業の業績のV字回復や伸長を支援してきました。この間、ある編集者から「日本でドラッカーを一番わかりやすく伝える男」と言って頂けるようになりました。ここでも、反復学習によって成果をあげる能力を修得できたのです。
2012年から主催している経営塾:ニッチトップ戦略塾の塾生さんも、半年ワンクールを繰り返し学んでいます。10年以上学んでいる人が9名、5年以上の人が9名います。
れらの方々は、らせん階段を昇るように、講義の受講 ⇒ 課題シートへの取組み ⇒ 講師の添削を受けて修正 ⇒ 次の例会で発表して質問やアドバイスをもらって修正 ⇒ 実行 ⇒ 次の講義の受講の繰り返しという、面倒なことを愚直に繰り返しています。その結果、ほとんどの人が、売上や粗利益率を大幅にアップさせています。
そうなんです。ニッチトップ戦略塾で習う音階(戦略の基本と原則)を、ひたすら経営に落とし込んで実践しているのです。
2024/10/22