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ニッチ戦略 特徴がない商品の特徴を創り出す方法
コモディティ商品から脱却する
たとえば、ガソリンなどのように、価格以外で違いを打ち出すことができなくなってしまった商品のことを「コモディティ商品」と言います。ところが、差別化が不可能と思われるようなコモディティ化した商品やサービスでも、イメージや用途を変えることで独自化や差別化した商品に転換できることがあります。
その方法は9つあります。
これらを組みわせると、類似商品の中に埋没している商品や陳腐化している商品がよみがえります。
専門特化する
「専門」という言葉には、知識があるとか、スキルが高いというイメージがあります。そこで、思い切りニーズを絞り込んで「〇〇専門」を打ち出せば、特徴が出てきます。
たとえば、「餃子専門店」にすると、中華料理店の餃子よりもおいしいのではないかと思ってしまいます。
また、ラーメン店では、「激辛専門」と打ち出せば、辛い味が好きな人にとって、一度は入ってみたいお店になります。
他にも、マッサージ店の看板に「ガチガチ専門」とあれば、肩こりがひどい人には魅力的に感じます。
これが専門効果です。
ニッチトップ化する
95%の人は、自分で判断できずに、皆が良いと思うものを良いと思う傾向があります。この心理を利用したのが「ニッチトップ=No.1化」です。
つまり、普通の消費者は、「一番売れているのは、もっとも良い商品に違いない!」と考えるのです。
たとえば、アマゾンの書籍を見ると、実に多くのジャンルに分類して、多くのニッチトップ(No.1)をつくり出しています。
それは、単純に、No.1にするとよく売れるからです。
アマゾンだけでなく、多くの本屋で、今週の売れ行きランキングの棚をつくっています。
また、コンビニやドラックストアでもランキングを見かけます。
あるいは、グーグル検索のトップに表示されるように、各社が努力するのも、一ページ目の一番上(No.1)がもっとも閲覧されるからです。
これがNo.1効果です。
価格でブランディングする
世界一の小売業は、アメリカに本社を置くウォルマートです。同社のコンセプトは、「エブリデイ・ロープライス」(毎日、圧倒的な安売りをすること)で、低価格でブランディングしました。
反対に、アイスクリームのハーゲンダッツ、チョコレートのゴディバなどは高価格でブランディングしています。
しかし、中途半端な価格でブランディングすることはできません。
したがって、価格でブランディングするときは、高すぎるか、安すぎるかのどちらかを選択しなければなりません。
ただし、中小企業が安すぎる価格で利益を出すことはできませんので、高すぎる価格のほうを選んでください。
こだわりが強いお客様の問題を解決する商品・サービス・提供方法にすると、商品やサービスが嗜好品になりますので、価格は、それほど気にならなくなります。
逆に、高いからこそ商品やサービスの価値が出てきます。
売り方を変える
特徴のない商品や、衰退期に差し掛かった業界で、常識的な売り方をしていたのでは、売れませんし、利益も取れません。たとえば、呉服販売の株式会社 和光(田中伸一良社長、北海道札幌市、4店舗)の小売部門は、2店舗で着物や和装小物を販売していました。
あなたも知っている通り、呉服販売業は絶滅危惧業種です。
そこで同社は、2店舗増やし、
- 若者向けに浴衣販売や、卒業式用の袴・成人式向けの着物をレンタルするキモノハナ
- 和装小物専門店のコモノハナ
- 着物が好きな大人向けのキモノハナおあつらえ
- 着物買取リサイクル和ものや傳
とくに、和装小物専門店のコモノハナは、不採算店だった呉服販売店を、札幌市に一店舗しかない和装小物専門店に切り替え、開店当月から目標を大きく上回る店舗になりました。
商品名を変える
同じ商品の場合、「おからクッキー」と「ダイエットクッキー」では、どちらが売れると思いますか?もちろん、対象とするお客様によって違います。
後期高齢者であれば「おからクッキー」のほうが売れるかもしれません。
しかし、少なくとも60代以下であれば「ダイエットクッキー」のほうが売れるでしょう。
また、少々、高くても売れるでしょう。
それは、言葉からくるイメージに違いがあるからです。
おからは豆腐の搾りかすでつくるもので、後期高齢者にとってはなじみがある商品です。
しかし、60代以下にはなじみが薄い言葉で、「おからクッキー」は、イメージできません。
できたとしてもマイナーなイメージが付きまといます。
しかし、「ダイエット」はつねに気にしていることであり、そのためのクッキーだというイメージはすぐに湧いてきます。
また、「お金をかけてでもダイエットしたい」という人も多くいます。
その人たちにとって、「いくら食べても太らない」というメッセージにもなります。
実際、「おからクッキー」から「ダイエットクッキー」に商品名を変更したことで売上げは急増しました。
なお、売れない商品の商品名を変えても、もともと売れていないのですからリスクはありません。
商品の性格を変える
ドラッカーの有名な事例に、「食べ物を腐らせないための冷蔵庫を、酷寒の地方で食べ物を凍らせないための保温庫として売る」があります。また、土木機械の潤滑油を、潤滑油が原因で土木機械が故障したら、故障した期間の損害を補償する「保険」として販売し、アメリカの潤滑油市場のトップシェアに躍り出た中小企業の事例もあります。
どちらも商品の性格を変えて成功しました。
競争環境から抜け出したいならば、商品の性格を変えることです。
商品の性格を変えても、商品そのものは何も変わりません。
用途を開発する
計算器だったソロバンは、「脳トレ用の考具」として販売することで生き残っています。ほかにも事例はたくさんあります。
たとえば、刻み海苔のための5連刃のはさみを開発したら、お客様が勝手に、機密性が高い紙を裁断することに使い始めました。
その用途に気づいた製造元は、事務用品の「はさみシュレッダー」としても売り出すことにして売上げを飛躍させました。
権威に認定してもらう
今は苦境に立たされている百貨店ですが、「高級イメージ」と「食品売り場の売上げ」は何とか維持できているところもあります。その食品売り場に出店することは、中小企業にとっては信用と知名度のアップになります。
つまり、百貨店という「権威」に、商品の良さを認定してもらったことになります。
現在では、アマゾンでの販売が「権威に認定してもらう」ことに当たるでしょう。
アマゾンは、出品する業者を審査しているからです。
製造業では、国や地方公共団体が設置した公設試験研究機関があります。
そこで、商品の機能・性能・効用・成分などを評価してもらえれば、無名の中小企業の商品でも、信頼してもらえるようになります。
あるいは、YouTubeに継続的かつ多数の動画を投稿して、YouTubeとグーグルの検索のトップページに表示されるようにする方法もあります。
これはNo.1効果とも考えられますが、YouTubeやグーグルといった検索分野の権威に認定してもらったことにもなります。
ブランドの顔をつくる
マヨネーズそのもののを識別する方法はありませんが、赤いキューピーのキャラクターがあると、「キューピーマヨネーズ」だと識別できます。これが、ブランドの顔をつくるということです。
中小企業の商品やサービスは、市場で識別してもらうことはできません。
しかし、ブランドの顔をつくることで特徴を打ち出すことは可能です。
納豆メーカーの株式会社丸美屋(東建社長、熊本県玉名郡)は、『お城納豆』という商品をもっていましたが、取り立てて目立つ商品ではありませんでした。
しかし、子猫のイラストがついた『にゃとう』ブランドを立ち上げたことで、売上げを伸ばすことに成功しました。
実際、納豆をほとんど食べなかったニッチ先生でも、『にゃっとう』ブランドの納豆の存在を知ったくらいですから、その威力はすごいものがありました。
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2020/10/23