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顧客とのコミュニケーションが上手な会社が生き残る


コミュニケーション
 
仏教の禅僧=中略=の公案に、「無人の山中で木が倒れたときに、音はするか」との問いがある。今日われわれは、答えが「否」であることを知っている。音波は発生する。だが音を感じる者がいなければ、音はしない。音波は知覚されることによって音となる。ここにいう音こそ、コミュニケーションである。 『エッセンシャル版 マネジメント』(ドラッカー著)

コミュニケーション成立の4つの要件

受け手に認識されること

コミュニケーションは、受け手に認識されて、はじめて成り立ちます。
ですから、情報やメッセージは、対象顧客にわかる言葉で、受け取りやすい方法で発信してください。
そうしないと、コミュニケーションは成立しません。

つまり、「誰に・何を・どのように発信するのか」を、つねに意識して行わなければならないのです。
対面でのコミュニケーションは、このことを意識しますが、ネットや紙媒体になると、相手の反応がリアルに見えないため、ついつい忘れがちになってしまいます。

ドラッカーは、「大工と話すときは、大工の言葉で話さなければならない」と言っています。
しかし、業界用語で話したり書いたりしている会社や人がたくさんいます。
あるいは、LCC(ロー・コスト・キャリア:格安航空会社)やSTP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジションを表すマーケティング用語)など、英語の3文字略語を多用する人もいます。
まるで、自分の知識を自慢したいように感じます。
しかし、業界用語や3文字略語を使わない顧客のほうが圧倒的に多いので、嫌悪を感じる人すらいます。

表現は、対象顧客の言葉にしなければなれません。
中小企業の顧客の多くは、業界用語や3文字略語に縁がない人たちです。
これらの言葉は「禁句」と認識して、常に顧客が使う言葉でメッセージ発信してください。
 

受け手に期待させること

人は期待することしか受け入れません。
それ以外の情報はBGMか雑音です。
あなたが発信した情報やメッセージを受け入れてもらうためには、日頃から、貴社や商品・サービス・提供方法に関心をもってもらうような環境をつくっておく必要があります。
「買ってください」だけの情報発信やメッセージ発信は、コミュニケーションではありません。
逆に、嫌われるだけの雑音と思われてしまいます。

ところで、FacebookやInstagramを見ていると、対象顧客に「何をアピールしたいのか」がわからないものがほとんどです。
逆に言えば、「貴社に何を期待してもらいたいのか」がわからないのです。
とりあえず、情報を発信しなければいけないので、思いつくままに発信しているような状況に感じます。
そこには、受け手の期待が欠落しています。
 

受け手への要求を明らかにすること

顧客とのコミュニケーションの最終目的は、買ってもらうことです。
「はっきり言わなくてもわかってくれるだろう」などという甘い希望は捨ててください。
買ってもらうためのコミュニケーションでは、はっきりと「買ってください」と意思表示してください。
そうしなければ買ってもらえません。

そんなことをいうと、「顧客が離れていってしまうのではないか」と心配するかもしれませんが、押し売りするから離れていってしまうのです。
顧客にとって、ほんとうに良いと思う商品や提供方法であれば、お勧めしないほうが「みずくさい」というものです。

それに、買う・買わないは顧客に選択権があります。
そもそも買わない人は貴社の顧客ではありません。
ですから、顧客から「みずくさい」と思われないように、良い商品や提供方法は、ぜひ、お勧めしてください。
 

コミュニケーションと情報の関係を理解すること

たとえば、リンゴのリ・ン・ゴの一文字一文字に意味はありません。
リンゴになってはじめて意味が出てきます。
しかし、リンゴが何を意味するかの情報を共有していないと、「リンゴがお好きですか」といってもコミュニケーションは成立しません。

コミュニケーションは主観的なものです。
主観的であればあるほど濃いコミュニケーションが図れます。
各種のファンクラブでは、対象となるヒトやモノが好きということで、会員同士の絆は強くなります。
つまり、好きは主観的なもので、好きであればあるほどコミュニケーションは深まります。

反対に、情報は客観的であればあるほど有効性が増します。
コミュニケーションと情報は別物ですが、前提となる情報を共有できなければ、コミュニケーションは成立しません。

たとえば、貴社が、「品質第一」と言っても、「品質とは何か」について、貴社と顧客との認識が一致していないかもしれません。
そうすると、「品質第一」と強調しても顧客の心には響きません。
そこで、弊社の品質とは「精密性です」「おいしさです」「耐久性です」「安全性です」など、共通認識を得られるように、情報を共有しなければなりません。

ちなみに、「品質第一」「顧客第一主義」「安心」「安全」などは、特徴を具体的に打ち出せない多くの会社が使っているので、顧客にはほとんど記憶されることはないと認識してください。

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2022/09/20

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