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013 自社の事業を顧客視点で自問自答する
ドラッカーの名言 ⇒ 自社の事業は何か
事業は何かという問いに答えることほど、単純でわかりきったことはないように思われる。鉄鋼メーカーは鉄をつくり、鉄道会社は貨物や乗客を運ぶ。― 中略 ―
あまりに単純であるために、この問いが提起されることはほとんどない。
その答えもあまりにわかりきっているために、答えられることはほとんどない。しかし実際には、「われわれの事業は何か」という問いは常に難しく、徹底的な思考と検討なくして答えることはできない。
しかも通常、正しい答えはわかりきったものではない。
ドラッカー名著集『現代の経営(上)』より
解説 ⇒ 貴社が売っているものと顧客が買っているものは違う
なぜ、ドラッカーが「事業の定義」を重要視するかというと、会社が売っているものと顧客が買っているものが違うからです。会社は自分たちが提供している商品やサービスを、顧客が買っていると思い込んでいます。
しかし、顧客の方は、その商品やサービスを買って得られる満足を買っています。つまり、顧客は満足あるいは問題解決の手段として商品やサービスを買っているのです。
たとえば、ファミレスは食事を提供していますが、顧客は満腹感あるいは家族・友達とのコミュニケーションの場を、もしくはその両方を買っています。
ですから、「安くて美味しいから食べてください」だけではダメで、「どんな人たちに」「どんな使い方をしてもらうか」が、さらに重要になってきます。
中小企業での活用法 ⇒ 顧客が買っているものに焦点を当てる
たとえば、印刷屋は、紙やフィルムを使って印刷物を作っています。ですから、印刷屋にとっての品質は、色合い、デザイン、コピー、刷り上がりの良さです。
しかし、印刷物を発注する顧客のほうは、商品カタログやチラシであれば「売れるかどうか」が品質の良し悪しになります。 このように、「当社の事業は何か」という問いに対する答えは、顧客や市場の満足や解決したい問題によって決まります。
たとえば、アメリカの化粧品会社レブロンの元社長は、「当社は、工場では化粧品をつくっているが、店舗では美しくなりたい希望を売っている」と言いました。
また、直径1㎝のドリルの刃が売れたのは、顧客が1㎝の「ドリルの刃」を欲したのではなく、「1㎝の穴」が欲しかったのです。 このような顧客視点で、貴方の会社の事業を定義し直してみてください。まったく違った販売方法や表現が必要なことに気づくはずです。
2019/08/08