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競争を回避する生態的ニッチ戦略
中小企業にかかる5つの圧力
競争戦略の大御所マイケル・ポーターの教えに、【5フォース】(5つの圧力)があります。それは、新規参入者からの圧力、仕入れ先からの圧力、売り先からの圧力、代替商品からの圧力、既存の競合企業からの圧力、です。
会社は、常にこれら5つの圧力にさらされているというものです。
あなたにも心当たりがありますよね?
新規参入者からの圧力
ほとんどの業界は、常に新規参入者からの圧力(脅威)にさらされています。笑い話に「アマゾンの脅威」というのがあります。
アマゾンが参入してくる業界は、本屋の業界のように壊滅的な影響を受けるというものです。
逆にアマゾンが参入してこない業界は、やがてなくなる業界だからヤバイというものです。
どちらにしても、本当に怖い話ですね。
さて、呉服業界のような絶滅危惧業種には、新規参入してくる者はほとんどいません。 新規に参入するほどの魅力がないからです。
しかし、環境変化に対応している呉服屋さんは、しっかり利益を出しています。
つまり、外部から儲かる仕組みを見えないようにすれば、新たなライバルは現れないということです。
したがって、マネしたくないような生態的にニッチなポジション(立ち位置、特徴)をつくれば、新規参入者からの圧力を受けなくてすみます。
仕入れ先からの圧力
そもそも生態的ニッチで取り扱う商品は、ロットが小さいので力が強い会社から仕入れることはほとんどありません。したがって、仕入れ先からの圧力を受けることもありません。
仮に圧力を受けて仕入価格が高くなったとしても、競争がない商品を扱っているので価格をあげて仕入価格を吸収することができます。
売り先からの圧力
特定顧客の、特定のニーズに応えるのが生態的ニッチ戦略です。欲しいのにその会社からしか買えないとなると、売り先が圧力をかけることはできません。
「その条件なら、買って頂かなくて結構です」と言われたら困るからです。
代替商品からの圧力
代替商品からの圧力だけは、なくなることはありません。それは、商品やサービスはお客様満足の手段にすぎないからです。
お客様が満足する代替品を予測することはできません。
できることは、市場を注意深く観察することだけです。
しかし、あなたの会社や商品のファンや信者さんになってもらえれば、代替商品からの圧力をなくすことができます。
ファンや信者さんは、機能や価格や便利さで買うのではなく情緒(心理的な魅力)で買うからです。
つまり、あなたの会社から買うのは「理屈じゃない」のです。
既存の競合からの圧力
他との違いを打ち出すのが戦略です。しかも、マネしたくない仕組みをつくるのが生態的ニッチ戦略ですから、既存の競合からの圧力は存在しません。
5つの圧力を回避する
生態的ニッチ戦略は、これらの5つの圧力とは無縁の事業展開をしようとするものです。ですから、生態的ニッチ戦略を採用する会社は、十分な粗利益率を得られる価格設定(値上げ)など、自社の望む条件で販売できます。
その結果、ドラッカーが言うように、「生態的ニッチを確保した会社は、優雅に暮らすことができる」ようになるのです。
また、生態的ニッチ戦略の採用は大企業にはできません。
中小企業だけの特権です。
このような戦略を活用しない手はありません。
理想的な未来像を生態的ニッチ戦略で設計し、外部からの圧力がない環境で、お客様満足の仕組みをつくりあげ、その価値にふさわしい利益が確保しましょう。
その成果を配分することで、社員さん、協力会社さん、地域、そしてあなた自身が経済的、心理的にも豊かになれます。
ちなみに、藤屋式ニッチ戦略塾の塾生さんで不動産仲介や売買をやっているある会社は、強い新規参入者がいない市場で、仕入れ先(物件を購入する個人)や販売先(個人)からの圧力がなく、代替商品がなく、既存の業者とも競争しない環境を創り出しています。
そのため、本塾に入塾した6年前から、売上高・店舗数ともに3倍に伸ばしています。
『生態的ニッチ戦略』に関心がある方はこちらにどうぞ!
2020/12/03