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事業戦略 顧客を特定するメリット
顧客を特定すると業務が標準化しやすくなる
前回紹介した生コン会社のO社は、たいへんめんどうくさいうえに、それまでの業界の常識では儲かりそうにない「遠距離・少量」や「営業マンの現場下見」や「時間外への対応」などに取り組みました。いっけん、効率が落ちたように感じますが、出荷量を見ると生産性は上がっています。
つまり、どんなにめんどうくさいことでも仕組み化し、それに見合う価格設定をすれば、非競争の市場ですから、継続的に儲かる仕組みにすることができるのです。
業務効率があがる
アメリカの航空会社に1971年から運行を始めたサウスウエスト航空というLCC(格安航空)があります。同社は、これまで飛行中の死亡事故ゼロ、赤字決算なしのすばらしい経営をしている世界でも有数の航空会社です。
同社が使用している航空機は、ボーイング737型機のみです。
航空機は機種によってパイロットの資格が必要ですので、一機種だけだとローテーションがやりやすくなり、整備や清掃などの業務もマニュアル化しやすくなります。
また、一般のハブ空港を経由して各都市に運航するハブ・アンド・スポーク型の運航方法ではなく、2都市間を結ぶポイント・トウ・ポイント型の運航方法を採用しています。
これにより、ハブ空港の混雑で発着が遅れるデメリットを回避しています。
ほかにも様々な工夫をしているのですが、これらの基底にあるのが、顧客をビジネスマンに設定した「短距離を低運賃・高頻度運航をする空飛ぶバス」のコンセプトです。
他のすべての航空会社が行っている「レジャー客」「海外出張客」「貨物輸送」などの併用は一切やっていません。
これで業務効率があがり、黒字経営を続けている大きな要因にもなっています。
社員の教育訓練が楽になる
アメリカ大リーグの大谷翔平選手は、誰もが認める逸材です。投手と打者を両立させる選手として日本・アメリカで話題をさらいました。
しかし、アメリカに渡って3シーズン目になりますが、際立った成績を残せていません。
日本でのトータル実績も、目を見張るようなものではありませんでした。
ニッチ先生は、その理由を体力面と練習面に理由があると考えています。
体力面では、投手と打者では使う筋肉が違います。
したがって、鍛える筋肉が違います。
また、先発投手は5日に一回登板しますが、打者は毎日です。
疲れ方と回復の仕方が違います。
そして、投手と打者は役割がまったく異なりますので、練習も異なります。
練習の時間面からみれば、それぞれの練習時間は、他の選手の半分しかありません。
これで、他の一流選手並みの成績を残せということに無理があります。
これは、ビジネスにも当てはまります。
複雑な業務を上手にするのは職人芸です。
職人芸は、特別な能力をもった人にしかできません。
いろんなものに手を出すと、ほとんどの人が「器用貧乏」で終わってしまいます。
サウスウエスト航空は一機種で、絞り込んだビジネスマンを近距離・中距離の移動・ビジネス客のみに焦点を合わせた仕組みをつくっています。
野球にたとえれば、バント専門の打者のようなものです。
社員の教育訓練が楽になりますし、効果もあがります。
その結果、顧客満足度が高くなり、業績も安定するというわけです。
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2020/10/19