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ニッチ戦略 適所で生きる
スケールメリットとスモールメリット
ドラッカーは、機械的なシステム(生態)では規模が大きいほうが有利。しかし、生物的な生態では規模ではなく形態が重要と言いました。
このように考えると、小さな会社は弱者で、大企業は強者という論理は成り立たないことが分かります。
たとえば、マンモスタンカーが強者で、カヌーが弱者と考えている人はいません。
どちらが役に立つかは目的と役割によって違ってきます。
大洋を大量の原油を運ぶときはマンモスタンカーが強み(スケールメリット)を発揮しますが、急流の川を下るときには参加すらできません。
急流下りではカヌーが強み(スモールメリット)を発揮します。
つまり、大企業と小さな会社は、二者択一の関係ではなく補完関係になっているのです。
ゾウとして生きるのであればゾウの形態が最適ですし、ミツバチとして生きるのであればミツバチの形態が最適です。
しかし、トンボは成虫になるとトンボの形態が最適ですし、幼虫のときはヤゴの形態が最適です。
つまり、成長段階によって形態を変えなければならないこともあるのです。
中小企業は生態的ニッチ市場で生きること
ほんとうは、すべての会社が生態的ニッチ(自分に最も適した場所)で経営するべきです。しかし、大企業には生態的ニッチという発想がありません。
「ニッチ」と聞くだけで、「すき間」をイメージしてしまうからです。
その結果、自社の適所を見極めきれずに、低収益を続けている大企業がほとんどです。
こうした状況は、会社の規模が大きいだけで継続的に儲かる時代は遠い過去のものになっているにも関わらず、現状を認識していない経営者の多さを物語っています。
小さな会社が継続的に儲かるための良い会社・強い会社の条件は、会社の大きさではなく収益力、特に粗利益率の高さだと腹をくくることです。
粗利益率を高くする方法はただ一つ、「自社の提供する価値を認めてくれ、自社の望む条件で買ってくれるお客様に売ること」につきます。
事業(ビジネス)とは、商品やサービスを売ることではなく、自社の提供する価値を認めてくれるお客様に、満足してもらえる商品・サービス・提供方法の仕組みをつくることです。
成長によって生態的ニッチ市場が変わることもある
生態的ニッチは「適所」ですから、事業のライフサイクルによって変わる可能性があります。ライフサイクルの基本は、導入期、成長期、成熟期、衰退期に分類できます。
人間でも成長段階に合わせて適所が変わります。
一般的には、乳児期は母親のそばが適所ですし、幼児期には幼稚園・保育園が適所になり、児童期には小学校、生徒期には中学校・高校、学生期には大学や専門学校が適所になります。
そして社会人になると会社や職場、家庭が適所となり、老齢期には老健施設などが適所になります。
このように考えると、会社の適所は、スタートアップのときには競争がないオンリーワンの極小市場がベストです。
そして、会社に体力がついてくるとオンリーワン市場に留まることもできますし、対象市場を広げるために、弱い競争相手も受け入れるニッチトップ市場に転換することも検討する必要が出てきます。
逆に、知名度がないスタートアップの時期には、ある程度の規模の市場で展開して差別化を図り、知名度が上がってからオンリーワン市場を開拓する選択肢もあります。
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2020/05/02