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粗利益率経営のすすめ
売上高と粗利益率
ドラッカーの『創造する経営者』のなかに、売上高=総売上げ、粗利益=純売上高という記述があります。
また、
規模拡大は、利益増よりもコスト増をもたらすとも記述しています。
あるいは、アメリカ屈指のマーケティング・コンサルタントであるアル・ライズの著書『フォーカス』には、
ライン拡大、多角化、シナジー(相乗効果)などと呼ばれているものは、どれも拡大プロセスであり、成長をめざすゆえの本能的衝撃だとあります。
しかし、これらをめざした企業は中長期的には失敗したことを、豊富な事例をあげて説明しています。
1996年に出版された同書には、「例外もある」と記述していますが、その例外として紹介している企業も、2020年現在では、失敗・撤退・破綻のどれかに属しています。
さらに、ドラッカーの『イノベーションと企業家精神』では、生態的ニッチ戦略を、「限定した市場で目立たないが、贅沢に暮らすことができる戦略」と紹介しています。
これらのことから、ニッチ先生は、経営資源に乏しく失敗が大きな痛手になる中小企業では、売上高を基準に経営するよりも、粗利益率を基準に経営したほうがよい考えられます。
売上高経営と粗利益率経営
売上げには、利益を伴わないものがあります。利益が出ていない企業では、ほとんどの売上げが適性利益未満と考えてよいでしょう。また、優秀な人材の確保難という大きな課題も立ちはだかります。
さらに、売上増に伴うヒト・モノ・カネ・時間の管理も難しくなり、生産性は低下していきます。
一方、粗利益率には、必ず売上げが伴います。
粗利益率が高くなれば、より少ない売上げで済むので、生産性な仕組みをつくることができます。
したがって、粗利益率を基準にする経営のほうが、生産性向上とリスク低下を両立させる可能性が大きくなります。
規模的成長と質的成長
ドラッカーは、多角化を否定していません。そのうえで、正しい多角化として「現在と共通の市場か、基幹技術を活かせる分野に限定しなさい」と言っています。
これは、「選択と集中」というドラッカー経営の根幹をなす考え方でもあります。
また、企業規模の拡大は、優れた経営者のロマンであり、常識にもなっています。
しかし、成長と膨張は違います。
成長はハッピーエンドになりますが、膨張の結末は「収縮」か「破裂」です。
売上げを優先する経営では、さまざまな理由をつけて、膨張に走ってしまいがちです。
そうならないように、粗利益率を高めることに焦点を合わせる(フォーカスする)ことです。
粗利益率アップが、質的成長の切り口になります。
粗利益率を高めるには、販売価格を上げることと、原価率を引き下げること、および、その両立で実現できます。
前者を実現するためには、対象顧客を特定して、商品と提供方法の魅力を上げなければなりません。そのためにはマーケティング志向が欠かせません。
一方、原価率を引き下げるためには、生産性志向が不可欠です。
これら2つの相反するものを両立させるためには、イノベーション志向が必要になります。
つまり、ドラッカーが「顧客を創造する2つの機能」という「マーケティング」と「イノベーション」の実践があり、それらの測定手段としての「生産性」も加味されます。
中小企業は粗利益率経営に転換しましょう!
ビフォーコロナの世界の動向とコロナショックの大きさから、アフターコロナの経営環境下で、「売上げ優先の経営」では、粗利益率低下と、それをカバーするほどの売上高を確保できないことから、経営体質の弱体化を招きます。強くて良い会社にするためにも、ぜひ、粗利益率経営に転換してください。
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2020/04/08