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弱みを強みに転ずる
■ある素材メーカーの商品開発
ある素材メーカー(A社)に新規事業コンサルティングに入ったときのことです。
決算書を見ていると、受注型の企業なのに、商品在庫が多すぎることに気づきました。
「これ、不良在庫ですか?」と訊くと、「はい」という返事。
ある高機能商品をつくるのに、素材の30%程度は廃棄が出るとのこと。
優良企業なので、不良在庫を放置しているのはおかしいと思い、
不良品を在庫している理由を聞いてみました。
その不良在庫は、定期的に廃棄するために、一時的に在庫しているだけのことでした。
それにしても、その金額は半端ではありません。
つまり、廃棄量が多量ということです。
この不良在庫を原料にすれば、廃棄コストをゼロにした上に、原材料がタダの商品を開発できます。
そこで、商品開発のテーマを、廃棄する不良在庫を使うことに絞り込みました。
■コラボでの商品開発を提案
ここで役に立つのが、過去のコンサルティング経験と、主宰する経営塾で取集した情報の蓄積です。
そもそも、A社で使用する素材は超ニッチなもので、機能的にも優れているのですが、デザインとして使用すると特異な輝きを放ってきます。
それをA社とはまったく無縁だった業界と新結合することを思いつきました。
新結合の対象となるB社の属する業界は、商品がコモディティ化しており、価格競争から抜け出すことができずに困っています。
また、新商品に占める原材料の割合は、A社のほうが数%という量ですので、流通チャネルも持っているB社に、コラボでの商品化を打診してみました。
すぐにOKの返事がきました。
A社単独では、ノウハウがありませんので、ドラッカーのいう「補完的なチャンス」に当たります。
■補完的なチャンスを、ドラッカーの事例で説明します
ある紙の容器をつくっていた会社が、プラスチックが開発されたときに、プラスチック容器をつくることにしました。
しかし、同社には、プラスチックに関する知識がありません。
同社にあるのは、「紙の知識」と「容器の知識」です。
そこで、新たにプラスチックの知識を補完しなければならなくなります。
このようなケースを「補完的なチャンス」と言います。
A社の場合は、この補完しなければならない知識を、コラボに求めたのです。
■マネ防止策(参入障壁)の視点
コラボを受け入れたB社にとっても、価格競争から脱却でき、高付加価値の商品になります。
しかも、A社が取り扱うは希少なもので、他社が入手するのは面倒な手続きを要します。そのうえ、新商品の市場規模は小さいので、大企業が入ってくる可能性は、ほぼ皆無です。
さらに、これまでにない商品ですから特許取得もできました。
このような経緯で、現在、A社の新商品開発がスタートしています。
なお、この新商品は、A社にとっては、既存の市場とはまったく別の市場・用途なので、新規事業になります。
*今回のメルマガはフィクションです。
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2019/11/29