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中小企業経営 事業を定義する
売上げ低迷の理由
業績不振の原因は、大きく分けて2種類です。
御社の商品やサービスに魅力がなくなったか、お客様の購買力がなくなったかです。
後者への対応は、そのお客様でも買える価格や支払い方法に変える以外にありません。
これもアジアやアフリカなどの新興国向けビジネスの考え方(ボトム・オブ・ピラミッド)を、国内に取り入れれば、活路は開けると思います。
一方、前者の「御社の商品やサービスの魅力喪失」にも、
(1)お客様に飽きられた
(2)市場に行きわたった
(3)他の商品に取って替わられた
の3種類があります。
こうした理由(不振の原因)がわからなければ、対応のしようがありません。
余談になるかもしれませんが、藤屋が主宰する【藤屋式ニッチ戦略塾】の塾生さんには天才はいないと思います。
ですから、普通の人が業績をあげようと思えば、スポーツや音楽と同じように、経営の原理・原則(基本プレー)を確実に押さえた経営をする以外ありません。
事業目的の陳腐化の予防策
事業目的が時代遅れ(陳腐化)にならないためには、それなりの努力が必要になります。
その努力には、
- 儲からなくなった商品や顧客を体系的(計画的)に廃棄する
- 御社の顧客より圧倒的に多いノンカスタマー(他社で買っている人たち)で起こっていることを知る
- 想定外の成功や想定外の失敗を素直に受け入れる
- について、ヒト・モノ・カネ・時間に制約がある以上、儲からなくなったものを捨てなければ、儲かるものにチャレンジすることはできません。
しかし、「捨てる勇気が必要だ、とわかっていても、捨てられないんですよね」という社長もいます。
でも、捨てるしかないんです。
「このままいけばどうなるか?」を自問し、どう考えても先細りしかないのであれば、次に「では、どうするか?」と自問することです。
この段階で、現状維持はありえません。
「座して死を待つか」「生き残るためのチャレンジをするか」の二者択一です。
それが経営です - について、他社から買っている人が多い現実を考えると、当たり前のことですね
- について、市場や顧客が、ニーズの変化を教えてくれえいるからです
事業目的の決め方
ビジネス・チャンスと対応能力(経営資源:ヒト・モノ・カネ・時間)を比べると、圧倒的に不足するものが能力のほうです。
ですから、事業目的は「やるべきこと」と「やらないこと」を決めることからスタートします。
つまり、
- 何をやり、何をやらないか?
- 何を続け、何をやめるか?
- どのような市場・商品・流通チャネル・技術を追求し、どのような市場・商品・流通チャネル・技術を無視するか?
いわゆる、「選択と集中」です。
顧客は誰か?
たとえば、高級婦人靴で履きやすさを前提にしているシューズ・デザイナーのマノロ・ブラニクのような人もいます。
一方、美しさやセクシーさのためには、平気で履きやすさを無視するクリスチャン・ルブタンのようなシューズ・デザイナーもいます。
つまり、対象とする顧客(ニーズ)が違うのです。
あるいは、100年以上も前のアメリカで、通販を開始した小売店のシアーズローバックは、「顧客は、交通手段のない田舎に住んでいる貧しい農民だ」としました。
そして、通信販売をはじめて、今日で言えば、世界一のアメリカの小売業ウォールマート(売上高50兆円)のような存在に成長しました。
同じ頃、ヨーロッパではトーマス・バタが、「バルカン半島の農民が靴を履いていないのは、単に履く靴がないからだ」と考え、貧しい農民でも買える靴メーカーを起こし、やがてヨーロッパ一の靴メーカーになりました。
いずれも、「顧客は誰か?」と自問自答したことから未開拓市場を開拓したのでした。
しかし、「これらは大企業の話ではないか!」と言う人もいるかもしれません。
では、次の事例はどうでしょうか?
僕が主宰する藤屋式ニッチ戦略塾の塾生さんであった塗装業T社さんの事例です。
3年前まで下請け中心(売上げシェアの90%)で業績も先細りの状態でした。
そこで「生き残るためのお客様は誰か?」と自問自答したところ、現在の元請け先の企業が顧客ではなく、地域の自社ビル・自己所有の人たちが顧客でした。
その顧客を対象にしたことから、今では元請けが70%、下請けが30%になっています。
事業の定義の構成要素である「誰に:対象市場」を変えたのです。
当然のことながら、営業方法も変えました。
顧客はどのような満足を買うか?
上記の靴の事例のように、履きやすさの範囲内でデザイン性を求める人もいれば、少々の履きにくさはガマンしてでもセクシーさを求める人もいるのです。
あるいは、価格を最優先する人もいますし、使用状況を最適に保つために「アフターサービスの充実」を最優先する人もいます。
ですから、すべての人の、すべてのニーズに応えることはできません。
私たちにできることは、競合との関係で、「どのような人の、どのようなニーズに応えるかを特定すること」だけです。
顧客にどのようなルートで到達するか?
前述のT社を例にあげると、対象市場は、会社から半径500mとしました。
そして、500mの円を8等分して、3ヶ月で1周するようにチラシを配布しました。
これをくり返し実行していると、7~8周頃から問い合わせが入るようになりました。
それ以外にもホームページの強化の一環として、雨漏り調査の様子を動画でアップしました。
とても単純なお客様への到達ルートですが、単純だからこそ、徹底が可能になり成果に結びつけられたのです。
自社の事業は何であるべきか?
「自社の事業は何か?」という問いほど、バカバカしいと感じるものはありません。
しかし、シアーズは「農民のための通販会社」、トーマス・バタは「農民のための靴製造会社」、クリスチャン・ルブタンは「セクシーでありたい人のためのシューズ・デザイナー」と自らの事業を定義しました。
これに近い事業の定義が、御社でできているでしょうか?
また、「事業の先行きが見えない」会社で、どう変わるかの判断基準となる「これから、自社の事業は、何になるべきか?」を打ち出せているでしょうか?
もし出せていなければ、その答えを出すことから、再スタートしてください。
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2019/09/20