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中小企業経営 ニッチ戦略の展開方法
ニッチ戦略は、小さな限定的な市場に引きこもるだけの戦略ではありません。
中小企業は、事業や商品のライフサイクルへの対応や企業の成長を図るために、自社の強みを活かせる複数のニッチ市場に展開する必要があります。
それが、多角化戦略で、中小企業が高収益を維持しながら勝ち残る方法です。
その基になる考え方が「専門化」と「多角化」です。
専門化と多角化は「and」の関係である
専門化と多角化
独占(ニッチ)市場をつくるためには強みが必要です。
複数の中途半端な強みを持っていても、ほとんど意味はありません。
運営が複雑になるだけで顧客満足を実現することはできないからです。
仮に、高収益を実現しても、参入障壁が低いために、すぐに他社に追随されてしまいます。
したがって、他社がマネできないように、特定の強みに集中する必要があります。
このように、特定の強みに集中することを【専門化】と言います。
つまり、専門化とは、単一事業に特化するという意味ではなく、商品力や販売力を高める「ノウハウ(能力)の強化」をさします。
なお、ニッチ市場かどうかを判断する4要素
(1)自社の強みを活かせるか
(2)業界の異常識か
(3)面倒くさそうか
(4)既存のやり方では儲かりそうにないか
に気づく発想力(着眼点)も強みの一つです。
専門性(強み)を強化するために、経営資源(ヒト・モノ・カネ・時間)を投入するのはコストです。
コストはできるだけ早期に、できるだけ多くを回収しなければなりません。
それが生産性向上に結びつきます。
そのためには、強みを活かせる対象(事業)を増やす必要があります。
それが【多角化】です。
この、どのようなニッチ分野で強みを持つかの専門化と、その専門化を活かせる事業をどのような範囲で展開するかの多角化で、事業構造が決まります。
なお、フリーランスや零細企業では、単一事業が大多数を占めています。その場合は、品揃えで多角化のマネごとをしてください。
多角化の成功条件
多角化に成功する条件は、
(1)共通の市場
(2)共通の技術
(3)価値観の一致
です。
(1)共通の市場と(2)共通の技術はどちらかを選択しますが、(3)価値観は必須です。
これらが一致していれば、多角化しても経営や運営は比較的単純です。
企業は、単純であればあるほど運営しやすいものです。
面白いことに、最高の業績をあげるのも、最低の業績になるのも、ともに単一事業の企業です。
単一事業は運営しやすいので、事業環境が良ければ高い生産性をあげることができます。
反対に、事業環境が悪化すれば、それに連動して業績は悪化します。
一方の多角化は、上手に運営すると継続的に儲かる企業になります。
しかし、運営が複雑になるために運営力が拙(まず)いと、収拾がつかなくなります。
『マーフィーの法則』に、「うまくいかなくなりそうなものは、いずれうまくいかなくなる」というのがあります。
多角化の場合、これにドラッカーの法則、「何かがうまくいかなくなると、すべてがうまくいかなくなる。しかも同時に」が加わります。
このような現実を踏まえて、多角化戦略を展開していかなければなりません。
専門化と多角化をバランスさせる
多角化の必要性
多角化は人間の本質や企業の持つ必然性から、次のようなニーズに応えるものです。
- 一般的に、人は同じことをしていては飽きるので、違うことをしたくなる。
- 専門性を強化するために、川上(原材料方向)に進出したがる傾向がある。反対に、コストをより早く、より多く回収するために川下(市場方向)に進出したがる傾向がある。
- 現在の市場では成長に限界があるので新たな市場に進出する。
- ある商品、ある市場向けにスタートした技術が進化し、または広化して、他の事業や商品に応用できるようになる。
- 税制は、投資家(出資者や金融機関など)への還元よりも、再投資(市場開拓・商品開発・設備投資・人材投資など)に有利になっているため、多角化したほうが得である。
- 投資市場や人材市場も多角化を高く評価したがる。
どのように専門化(集中)が望ましくても、多角化抜きの専門化は過度の専門化に陥り、コストの回収もままならなくなります。
また、景気に循環がある以上、中長期的にはリスク分散の意味でも多角化が不可欠になります。
多角化で順守すべきこと
どんなに多角化が望ましくても、専門化に基づいた多角化でなければ、分裂・分散した状況になり、運営できない状況に陥(おちい)ってしまいます。
企業は存在し続けなければなりません。
したがって、専門化(強みのさらなる強化)と多角化(強みの有効活用、リスク分散、コストの早期回収)は両方とも必要です。
このバランスをとるのが企業経営です。
多角化で順守すべきこと
多角化を推進しつつ、かつ、一体性を持った企業経営をするための事業展開には、2つの方法があります。それは、
◆共通の市場を軸に事業展開すること
◆共通の技術を軸に事業展開すること
です。
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2019/09/20