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顧客に投資させたことを足枷にさせるニッチ戦略
強力な武器を足枷にさせる
前回の「リーダー企業の強みを足枷にさせるニッチ戦略」は、大手企業の強みに対するジレンマ(ゲリラ)攻撃でした。顧客との強力な結びつきは、リーダー企業にとって、何よりの財産であり強みです。その強みを参入障壁にさせる戦略です。
今回は、大手企業が顧客に設備投資させたことが足枷になって、新しい技術が開発されても、対応できない状況にする戦略です。
例えば、「スマホ決済」というシステムがあります。スマホにアプリをダウンロードしたら、簡単なカードリーダー(読み取り機)をセットするだけで、商品やサービスの決済ができるようになる仕組みです。
そのカードリーダーは、スクェアなどの決済会社が無料で提供してくれます。
この新しい仕組みに対して、ポスレジの大手である東芝テックなどは、本格的な対応ができていません。なぜならば、1台200万円から300万円するポスレジを導入してもらっている流通業者が多数いるのに、無料の機器を普及することはできないからです。
また、これまでのビジネス・モデルで収益をあげているので、それを否定するビジネス・モデルを積極的に導入する訳にもいかないのです。そこに、中小企業や後発企業の市場開拓の余地があります。
リーダー企業の強い流通経路の裏を狙う
同じようなことが会計ソフトの世界でも起こっています。「クラウド会計」がそれです。会計ソフトのリーダー企業はTKCです。TKCは、税理士を対象に会計ソフトを販売しています。
税理士事務所に会計ソフトを導入させるとともに、クライアント(顧問先)にも会計ソフトを導入させています。そうした意味では、同社は強力な「流通経路特定型ニッチ戦略」を採用している企業でもあります。
ですから、それが不要になるようなクラウド会計には本格的に入りづらいのです。それがfreee(フリー)などのクラウド会計の企業が業績を伸ばしている理由でもあります。
2019/09/12