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ドラッカーの視点:ペルソナのニーズを創り出す
提案型の事業展開
前回の「未対応のペルソナの要望」は、現在の顧客ニーズに応えるものでした。これとは別に、新たにペルソナのニーズを創り出す方法もあります。ドラッカーのいう「ニーズに応える」に対して「ニーズを創り出す」に当たります。人は、ある環境におかれていると、たとえ不便・不利・不都合があったとしても、ガマンするようになります。それが長期間になると、感覚がマヒしてしまい当たり前だと思うようになってしまいます。
そこで、ペルソナの「理想的な姿」を描き、「理想の姿」と「現実」のギャップを埋める商品を開発して提案することもできます。つまり、「今ない商品」を提案するのです。
事例
札幌に本社を置くヤマチユナイテッドグループ(山地章夫社長、従業員550名超)は、まさに、それをビジネス・モデルにしてきた会社です。同社は、(1)他の産業、他の国、他の市場で起こっている何か良いことを、札幌市の生活者に提案する、(2)既存の何かと別の何かを組み合わせて、新しい何かをつくる、(3)また、その生活者へ提供するための商品をB to Bで販売する方法(FC展開)で業績を伸ばしてきました。
- (1)の代表は輸入住宅事業(ジョンソンホームズ)であり、年間の施工数は300棟を超え、札幌の戸建て住宅では、トップクラスになっている。
- (2)の代表事業は機能回復型デイサービス(事業名:きたえるーむ)である。デイサービスと柔道整復師(整骨院)の手技をミックスして、同業他社にないサービスを提供している。2016年6月現在、店舗数は直営・FCを併せて100を超え、開店準備中は15店舗ある。
- (3)の代表は、ジョンソンホームズの主力ブランドである「COGY」をFCで展開している。
なお、同社は多角化(マルチ・ニッチ)をビジョンに掲げています。100のニッチ・トップ事業で1,000億円の売上げを達成するというものです。これだと1,000億円企業になっても、高収益の経営体質が実現できます。
さらに、100の事業には100人の経営者が必要になります。北海道で経営者を目指す少数派の学生を採用するという点では、人材採用に関してもニッチ戦略を取り入れていると言ってもよいでしょう。
2019/09/11