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価格と販売数量が利益に及ぼす影響
値引き・値下げで利益が出なくなる
まず、次の計算式を見てください。現行
1個10,000円の商品(1個当たりの変動費6,000円)を10,000個販売しています。1個あたり4,000円の粗利益で10,000個ですから粗利益は4,000万円
固定費が3,000万円ですから、
粗利益4,000万円-固定費3,000万円=営業利益は1,000万円
10%の値下げで販売数量維持
1個9,000円-変動費6,000円1個あたり3,000円の粗利益で10,000個ですから粗利益は3,000万円
固定費が3,000万円ですから、
粗利益3,000万円-固定費3,000万円=営業利益は0円
価格維持で販売数量10%減
1個10,000円-変動費6,000円1個あたり4,000円の粗利益で9,000個ですから粗利益は3,600万円
固定費が3,000万円ですから、
粗利益3,600万円-固定費3,000万円=営業利益は600万円
価格10%アップで販売数量10%減
1個11,000円-変動費6,000円1個あたり5,000円の粗利益で9,000個ですから粗利益は4,500万円
固定費が3,000万円ですから、
粗利益4,500万円-固定費3,000万円=営業利益は1,500万円
単純化していますので、この通りにはならないでしょうが、価格と販売数量が利益に与える影響は分かると思います。
たとえば、貴社が値引き・値下げすると、ほぼ100%、他社も追随していきます。
すると、利益率が下がるだけで販売数量が増えることはありません。
したがって、商品や提供方法に特徴があれば、値引き・値下げは絶対避け、特徴に価値を感じる顧客だけに販売するように方針を転換することです。
売上拡大を優先すると破綻する
かつて、スターバックスが顧客満足優先から店舗数拡大に戦略を転換したことがあります。その結果、店舗数は急増しましたが、顧客満足が低下し、利益が急速に悪化しました。
そこで、顧客満足を高める経営に戻すために、多くの店舗を閉鎖したのですが、利益はV字回復しました。
その後、社員の成長とともに店舗数を増やすと、利益・売上ともに増えていきました。
これと同じ状況を、店舗展開を急ぐ飲食チェーンに見ることができます。
企業の量的成長と質的成長
ドラッカーは、「企業は量的に成長する(売上拡大)必要は何が、質的に成長する必要はある」と言っています。この場合の質的な成長は、社員の成長を意味します。
どんなにすばらしい運営システムを設計しても、それを運営する社員が成長しなければ、運営システムが機能しないからです。
人の成長には時間がかかります。
だから、他社が仕組みだけをマネしても、運営する人がいなければ、競争優位が保てます。
利益を優先するニッチ戦略
僕は、ニッチ戦略を「増収増益の仕組み」ではなく、「増益増収の仕組み」だと捉えています。まず、特定顧客の特定ニーズに応えるための、他社がマネしたくない仕組みを設計します。
たとえば、めんどうくさい対応や、高価格帯への移行、業界の非常識の方法で外部から儲かる仕組みがわからないようにします。
そこで、しっかり利益をあげることを優先します。
社員に対しては、現在の業務をより良くやるように、業務の標準化、教育訓練を徹底します。
そして、特定顧客の特定ニーズを求める顧客に向けて、商品や提供方法の価値を伝える情報発信の仕組みをつくります。
それで新たな顧客を獲得し、増収に結び付けていきます。
これがニッチ戦略の本質です。
つまり、ニッチ戦略は、成長を放棄した戦略ではなく、中小企業に最適な、非競争で成長する高収益が望める成長戦略なのです。
もちろん、ニッチ市場を対象にしますので、売上の上限はあります。
しかし、その上限は、思っている以上に高い所にあります。
仮に上限に達したとしても、市場の再定義・事業の再定義で、難なく上限を超えることができます。
弊社には、ニッチ戦略への転換支援や、ドラッカーのマーケティングとイノベーションを応用する【顧客の創造 支援サービス】があります。
関心があれば、ぜひ、お問い合わせください。
お問い合わせと概要は、ここをクリックしてください。
2022/11/29