ドラッカーの視点:脅威をチャンスに変える

SWOT分析には致命的な欠陥がある

ビジネス・チャンスを見つける方法にSWOT分析があります。社内外の要素を、S(強み)、W(弱み)、O(機会)、T(脅威)に分けるというものです。

しかし、この分析には、一般論で分類してしまうという致命的な欠点があります。それは、人は、いったん分類してしまえば、その分類したものを既成事実としてとらえるようになることです。

そのため、ある要素に分類したものを、他の要素に振り替えることをしなくなります。これでは、他社と同じ思考になり、他社が進出してこないビジネスを立ちあげることなどできません。

脅威とされる市場で業績を伸ばす

北章宅建株式会社(本社石狩市、坂本周平社長)は、札幌市近郊の人口が少ない地域で、総合不動産サービスを展開しています。

札幌市を除く北海道では、人口減少(過疎化)が進んでおり、人口の減少は、不動産業にとっては脅威です。

ところが、同社は、あえて、人口が増加している激戦区の札幌市ではなく、その周辺地域を対象市場にしています。つまり、脅威を脅威とみなさず、チャンスとしてとらえているのです。

これらの地域を詳しく分析すると、人口は減少しているのに、世帯数の減少は過少でした。そこにビジネス・チャンスを見出したのです。

同社の主な集客手段はチラシです。ところが、対象市場の同業他社は個人経営が多く、チラシを配布することはほとんどありません。また、ホームページに力を入れている会社もほとんどありません。チャンスがあって、ライバルがいない状況です。これは、どう考えても、一人勝ちの状態以外の何ものでもありません。

しかも、同業他社は不動産の売買・仲介・賃貸斡旋はしていても、測量や火災保険や家財保険、引っ越しで生じたゴミの処理などはやっていません。

このように、商品メニューが充実していることから、たとえば、小樽市などでの不動産サービスに関する市場シェアは60%を超えるようになっています。

同社は、自家用車よりも単価が低い不動産物件で利益を出せる仕組みを構築しており、他社の追随を許していません。

今後、少子・高齢化により、ますます脅威が増す過疎地化する地域の不動産業者として、業容の拡大を計っています。