007 業務を標準化する方法

ドラッカーの名言

オートメーションの本質は技術ではない。
他のあらゆる技術と同じように、オートメーションもまた一つのコンセプトである。
その技術的な側面は、原因ではなく結果にすぎない。
第一に、それは、流動的に見える現象の底に予測可能な安定した一つの基本パターンが存在するとする形而上的なコンセプトである。
第二に、それは仕事の本質についての一つのコンセプトである。― 中略 ― オートメーションにおける仕事の原理は、統合され調和した一つの総体としてのプロセスである。
第三に、それは、目的と手段、投入と産出のバランスを図るためのコントロールのコンセプトである。

ドラッカー名著集『現代の経営(上)』より

解説

オートメーションときくと、「当社は製造業でないから関係ない」あるいは「製造業だが、大量生産ではないから該当しない」と思いがちです。
しかし、大量に寄せられる保険請求の伝票処理を手作業でやる場合、不備や例外的なものを別にすれば、流れ作業で処理できスムーズな作業になります。
そして、不備や例外的なものを、別の担当が専門的に処理したり、流れ作業分が一区切りついた後に集中して取り組めばよいのです。ドラッカーによれば、これもオートメーションの1つです。

オートメーションは「統合され調和した」となっていますので、逆に言えば「一定の基準で、例外を除くことで成り立つもの」と考えることができます。
この考え方だと、ほとんどの会社や仕事でオートメーションの原理を取り入れることができます。

中小企業での活用法

今回、時代遅れに感じる「オートメーション」を取り上げたのには理由があります。
それは、多くの中小・零細企業で、仕事の標準化・平準化ができていないからです。その言い分として、「例外が多いから」というのがあります。
それはゼロか100かで、中間がないという発想です。しかし、企画などの創造的な仕事を含めて、70%から80%は共通の仕事で、残り20%から30%が個別の案件による仕事ではないでしょうか?
それだと、仕事の大部分をオートメーション化して、残りの工程を個別に対応すればよいのです。

たとえば、税理士事務所の業務は、個別企業に対応しなければなりませんので、オートメーション化はできないと思いがちです。
しかし、実際は、税務や会計の法律に基づいていますので、作業の標準化は可能なはずです。もっとも、「中小・零細企業は言った通りにしてくれないので例外ばかりで業務の標準化はできない」ということもあるでしょう。
しかしそれは、指導するか、受託するかで解決しなければいけない問題です。言った通りにしない顧問先に振り回されるのは、正しい仕事の仕方とは言えません。

あるいは、「在庫管理ができていない顧客ばかりで、緊急の配達に振り回される」という卸売業者もいます。
しかし、顧客の在庫状況は、こちらで把握することができますので、ルート配送は可能です。たとえ、完璧にオートメーション化はできなくても、それに近い状況を作り出すことは可能です。

このように、オートメーションにかぎらず経営理論の原則を踏まえて、「それに近づくためにどうするか?」を考えることが、経営者の仕事なのです。
ちなみに、理論とは、「対象になるもののあるべき姿」「理想型」ととらえるといいでしょう。逆に言えば、そのまま取り入れてもピッタリ合うことはほとんどありません。
それは経営が科学の面と芸術(職人芸)の面を併せ持っているからです。たとえば、楽器は楽譜通りに演奏しても、演奏する人によって違ったものになるのと同じです。

経営を科学の面からばかりとらえる人も、芸術の面からばかりとらえる人も、本質の半分だけで経営していると考えてください。
2つの面から業務をとらえると、標準化のやり方が見えてくるはずです。