005 現在と将来のマネジメント

ドラッカーの名言

マネジメントは常に、現在と未来という2つの時間を考えなければならない。
長期的な利益、さらには企業の存続を犠牲にして目前の利益を得ても成果をあげたことにはならない。
また逆に、壮大な未来のために今年災厄を招くようなリスクを冒す意思決定をすることは無責任である。
目覚ましい業績をあげたとしても、あとに燃え尽きて沈む船体を残しただけでは、現在と未来のバランスに失敗した無責任なマネジメントというべきである。

ドラッカー名著集『現代の経営(上)』より

解説

ドラッカーは、自転車操業の会社に対して、このようなことを言っているわけではありません。沈みかかった船では、復旧努力か船からの脱出しか選択肢はないからです。
しかし、現在と将来を同時に経営する方法でしか、アップアップ経営から抜け出すことはできません。

現在と将来の利益を同時に実現させ、調和させ、あるいは少なくともバランスさせることが経営者の仕事です。
将来の利益の基盤は今日の仕事で築き上げていきます。それと同時に現在の利益は、今日の仕事で生み出さなければなりません。
したがって、経営者は常に「現在」と「将来」を同時に満足させるために今日行なうべき仕事を選ばなければならないのです。それを実現するのが戦略思考なのです。

中小企業での活用法

戦略ときくと、なぜか遠い将来のことのように感じます。「今期の業績がどうなるかわからないのに、そんな先のことなど考えられない。まずは、今日の仕事をきっちりやること」と思っている社長も多いことでしょう。

その考え方を捨てないかぎり、アップアップ経営から脱却できることはありません。戦略思考こそ、業績向上のカギなのですから。
ドラッカーが「目標による経営」と称している戦略思考にもとづく経営こそ、現在と将来の利益を同時に満足させる唯一の方法なのです。

とりあえず、競争優位とまではいかなくても、お客様に買って頂いている理由を聞いて、その魅力をさらに充実強化し、当面の利益を確保しましょう。
そうして、資金繰りのメドをつけて中期経営計画をつくりましょう。
現実とビジョンを織りまぜながら働く環境をつくらなければ、社員のモチベーションはあがりません。
人は、今日の仕事の見返りがなくても、あるいは少なくても、将来に希望がもてればがんばることができます。そのためにも現在と将来を同時にマネジメントする発想をもつことが欠かせないのです。