ドラッカーに学ぶ「生態的ニッチ戦略」とは?|「ニッチ」の正しい意味を知る

中小企業に特化した「ニッチトップ戦略®」の専門家、藤屋伸二です。
私はこれまで「ドラッカーの経営学」と「ニッチトップ戦略®」を組み合わせ、350社以上の中小企業の高収益化を支援してきました。
また、ドラッカー関連の書籍を45冊執筆し、累計発行部数は225.9万部を超えています。

多くの経営者が「ニッチ戦略」という言葉を耳にしますが、その“本当の意味”を正しく理解している人は意外と少ないものです。

「ニッチ=すき間市場」と考えられがちですが、ドラッカーが語った「ニッチ」は単なる“すき間”ではなく、「生態的地位(エコロジカル・ニッチ)」=棲み分けによる生存戦略を意味します。

この記事では、ドラッカーが説いた「生態的ニッチ戦略」の原点を整理し、中小企業が非競争で高収益を実現するための考え方をお伝えします。

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ドラッカーの言葉に学ぶ「生態的ニッチ」

ドラッカーは、中小企業に対して生態的ニッチ戦略の有効性を説いています。

また、下記のような記述もあります。

リーダー的な地位とは、規模の問題ではなく、質の問題である。強みとする分野への集中である。

― 中略 ―

スペシャリストになることができるニッチは、ほとんどあらゆる分野に存在する。
(参照:エッセンシャル版 マネジメント

つまり、ドラッカーが説く「リーダー」とは“シェアの大きい会社”ではなく、自社が強みを発揮できる独自の分野でトップをとる会社のこと。

彼は中小企業に対して、まさにこの「生態的ニッチ戦略」を勧めています。

「ニッチ」は業界によって意味が違う

私たちは日常的に「ニッチ=すき間」と使っていますが、実は「ニッチ」という言葉は分野によって意味が異なります。

  • 建築用語:壁のくぼみ
  • 土木用語:トンネルなどの非常退避空間
  • 生物学用語:特定の環境に適応した生物の生息場所(=生態的地位)

ビジネス用語での「ニッチ」は、“すき間市場”として使われますが、ドラッカーの言うニッチはこのうち生物学の意味に近いものです。

ドラッカーが説いた「生態的ニッチ戦略」とは

イノベーションと企業家精神』の第3部「企業家戦略」で、ドラッカーは「ニッチ戦略」を紹介しています。
原著では「ecological niche(エコロジカル・ニッチ)」と記されており、正確には「生態学的地位」=競合と棲み分けながら生き残る場所を意味します。

たとえば、生物の世界では同じ草食動物でも、

  • 食べる植物の種類(草か灌木か)
  • 草の食べ方(葉先か根元か)
  • 採食時間(昼か夜か)

といった違いによって、同じ地域でも競合せずに共存しています。

ドラッカーはこの自然界の法則を、経営に応用するべきだと説いているのです。

動物に学ぶ生態的ニッチ戦略

少し長くなりますが、ウィキペディアの「ニッチ」を引用します。

この説明で、ドラッカーが意図したニッチが理解しやすくなります。

ニッチ(niche)は、生物学では生態的地位を意味する。1つの種が利用する、あるまとまった範囲の環境要因のこと。

地球上のさまざまな場所に生物が生息できる環境(藤屋注:棲み分ける場所=適所)があり、そこに生息する種はそれぞれ異なっている。

=中略=

ただし、一つの地域に存在する草食動物は一般的に一種だけではない。

複数の草食動物は、実際には食べる植物の種類(草か灌木かなど)、草の食べ方(葉先を食うか根元を食うかなど)、採食の時間(昼間食うか夜食うかなど)といった違いがある。

つまり、大まかな見方では同じニッチに見えても、その中にはさらに細かいニッチがある。

ドラッカーの生態的ニッチ戦略は、動物の強い相手と棲み分ける、あるいは、食べる種類・食べ方・採食の時間などを変えて食い分けることで、生存できる状況をつくり出しているのを、ビジネスに応用しようとするものです。

どのような市場でも、分類や分解を繰り返していけば、さらに細かい市場に分けることができます。

固定費が高く、大きな市場でなければ存続できない大企業であれば、大きな市場を対象にしなければなりません。

中小企業は「棲み分ける」ことで生き残る

しかし、中小企業は、競合がなくなるまで市場を細分化して、そのなかの1つの市場を対象にしても十分に存続できます。

つまり、同じ業界・同じ市場にいても、他社と競合しない状況(生態的ニッチ)をつくり出せば、目標利益が確保できる事業になります。

良い会社の条件に、会社の大きさ(規模)は入っていません。

競合がない状況を創り出し、顧客をファン化・信者化できる関係を築けているかどうかです。

中小企業の業績は生態的ニッチを確保できているかどうかで業績が決まります。

フェラーリに学ぶ「生態的ニッチ経営」

なお、生態的ニッチでは、会社の規模は絶対的なものではなく相対的なものです。

たとえば、イタリアの高級スポーツカーのフェラーリは、2018年の売上高は4,260億円、純利益は980億円(純利益率23%)、従業員3,000人を超える大企業かつ超優良会社です。

しかし、年間の生産台数は9,000台を上限にしています。

世界の自動車の生産台数は9,000万台ですから、市場シェアは0.01%にすぎない超ニッチ会社です。

同社は、売れるだけ売るのではなく、販売台数を限定して、フェラーリ信者ともいえる顧客だけを相手にして、我が道を行く経営を貫いています。

これこそ、中小企業のお手本になる経営だと思いませんか?

概念を押さえたら、実務で独占をつくる手順に進みましょう。

具体的な参入障壁の設計は下記の記事で解説しています。

【事業戦略】ニッチな市場を独占する4つの条件|「ニッチトップ戦略」の専門家が解説

中小企業に特化した「ニッチトップ戦略」の専門家、藤屋伸二です。私はこれまで「ドラッカーの経営学」と「ニッチトップ戦略」を組み合わせ、350社以上の中小企業の高収益…

具体的な成功事例を読んで理解をより深めたい方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

ニッチ市場戦略の成功事例|ビジネスで“競争しない成長”を実現する方法

中小企業に特化した「ニッチトップ戦略」の専門家、藤屋伸二です。私はこれまで「ドラッカーの経営学」と「ニッチトップ戦略」を組み合わせ、350社以上の中小企業の高収益…

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