残存者利益型ニッチ戦略の成功企業事例|縮小市場で“一人勝ち”する経営の考え方

中小企業に特化した「ニッチトップ戦略®」の専門家、藤屋伸二です。
私はこれまで「ドラッカーの経営学」と「ニッチトップ戦略®」を組み合わせ、350社を超える中小企業の高収益化を支援してきました。
また、ドラッカー関連の書籍を45冊執筆し、累計発行部数は225.9万部を超えています。

市場が縮小していく中で、多くの経営者が「もうこの業界は終わった」と口にします。
しかし、”買う人がゼロにならない限り、市場はなくならない”という事実を忘れてはいけません。

この記事では、衰退市場においても利益を生み続ける「残存者利益型ニッチ戦略」について、実際の企業事例を交えて解説します。
「市場の縮小=自社の衰退」ではありません。むしろ今こそ、差別化によって“一人勝ち”できるチャンスがあるのです。

買う人がゼロにならない限り、市場は存在する

社会やライフスタイルの変化、経済の成熟化、人口構造の変化などにより、市場規模が縮小するケースがあります。

そうなれば、当然のことながら供給者である企業や店舗が過剰になり、淘汰されることになります。
しかし、ニーズがゼロにならないかぎり、供給者は必要です。

つまり、最後まで生き残っていれば、市場がなくならないかぎり、ビジネスを続けることはできるということです。
これが「残存者利益型ニッチ戦略」の基本的な考え方です。

たとえば、学生服・レコード針・下駄、これらの業界は“衰退市場”の代表例ですが、「最後の一社」として残った企業は、競合がいないことでむしろ安定的な利益を得ています。

 

市場の衰退=個別企業の衰退ではない

札幌市で呉服の卸売りと小売りを営む株式会社和光(田中伸一良社長、従業員34名)は、残存者利益者となるべく、奮闘努力しています。

着物業界は1980年頃の2兆円をピークに市場規模が縮小を続け、現在は2,805億円にまでなっています。

そうしたなかで同社の小売部門の2店舗は、「新しい着物の世界」を提案して売上げを伸ばしています。

たとえば、JR札幌駅ビルに入居しているキモノ ハナ パセオ店は、若い女性がファッション感覚で着れる2万円から3万円の着物を、小物でコーディネートすることで、可愛く着てもらえるように提案しています。

2016年7月度は、浴衣の企画が大当たりして、JR札幌駅ビルのテナント700店を超える中で坪当たり売上げランキングのトップになったそうです。これは、2年連続の快挙です。

衰退市場こそ、イノベーションのチャンス

市場が縮小してもゼロではないかぎり、改善・革新の余地は残っています。
とくに縮小を続ける衰退市場には、強力な新規参入者は入ってきません。

また、既存の業者は高齢化が進むので、新しいことにチャレンジする企業もほとんどありません。
しかし、呉服業界では2,805億円分の商品を買う顧客が残っていることも事実です。

つまり、当たり前を疑い、新しいことにチャレンジできる人にとって、一人勝ちできる環境が整っていると考えることもできるのです。

和光の田中社長のように、縮小市場を「終わり」ではなく「進化の機会」と捉えられる経営者こそ、残存者利益を得る資格を持っていると言えます。

衰退市場で勝ち残る3つのポイント

  1. “顧客の変化”を観察し、価値を再定義する
     市場が縮小しても、残っている顧客には“変わらない欲求”があります。
     彼らが求めているのは「新しい形での満足」です。
  2. 古い常識を壊し、価格帯・デザイン・流通を見直す
     和光が若年層向けに2万円台の着物を展開したように、
     “非顧客層”を取り込む発想が重要です。
  3. 「最後まで続ける覚悟」を持つ
     残存者利益とは、単に生き延びることではなく、
     最後まで「顧客に価値を届け続ける」企業だけが得られる報酬です。

 

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