なぜ、強みのある会社が、価格と取引条件の主導権を持てないのか

技術力はある。他社が断る仕事にも応えている。

それなのに、値上げが言い出せない。顧客を選べない。

その原因は、能力ではありません。 市場における「存在の仕方」の設計にあります。

なぜ、強みがあるのに価格と取引条件の主導権を持てないのか

多くの経営者は、こう考えます。

「強みを磨けば、選ばれ、主導権を持てる」と。

しかし、これは半分しか正しくありません。

強みは、主導権の必要条件です。

でも、十分条件ではありません。

強みがあっても、それが「他社と比較される状況」で発揮されている限り、顧客は、自社を他社と比較します。

比較される限り、価格を決めるのは、顧客です。

価格と取引条件の主導権がないのは、強みが足りないからではありません。

商品と提供方法が、比較される状況に置かれているからです。

では、なぜ「他社と比較される土俵」から出られないのか

理由は、強み・商品・提供方法以外の要素が、他社と比較される状況のままだからです。

戦略には、6つの変数があります。

  • 強み
  • 商品
  • 提供方法
  • 価格
  • 顧客層&市場
  • メッセージ発信

多くの会社は、強みだけを磨き、あるいは商品だけを磨き、残りの5つを、業界の常識のまま放置しています。

すべての顧客に応え、相場で価格を決め、他社と同じ言葉で発信する。

すると、せっかくの強みも、業界の平均的な基準で評価され、比較の対象になります。

6つが、バラバラに、業界に合わせて存在している。

これが、「比較される土俵」「競争環境」から出られない、本当の理由です。

価格と取引条件の主導権を持つとは、どういう状態か

価格と取引条件の主導権を持つとは、安く売って選ばれることでも、声を大きくして選ばれることでもありません。

藤屋式ニッチトップ戦略が目指すのは、下記のような状態です。

  • 御社が、付き合う顧客を選ぶ。
  • その選んだ顧客から、「ここでなければ」と指名される。
  • そして、その顧客は、御社が望む価格と取引条件で買ってくれる。

ここには、3つの主語があります。

  1. 御社が顧客を選ぶ。
  2. そして、選んだ顧客が、自社を指名する。
  3. さらに、御社が望む価格と取引条件で買ってくれる

そして、

  • 双方が、互いを選んでいる。
  • 他社と比較されずに相談される。
  • 値引き交渉ではなく、課題解決の相談から始まる。
  • 価値に見合う適性価格で、取引できる。

これが、価格と取引条件の主導権を持つ、ということです。

どうすれば、価格と取引条件の主導権を持てるか

強みを活かして、他社ができない、あるいは対応したがらないニーズに応える。

そこへ、戦略設計の6変数(強み、商品、提供方法、価格、顧客層&市場、メッセージ発信)すべてを、整合させていく。

ドラッカーは、これをエコロジカル・ニッチ(生態学的市場地位)と呼びました。

生物が、ある環境に深く適応して、そこで唯一の存在になるように、 企業も、特定のニーズに深く適応すれば、他社が入ってこられなくなる。

市場の中で、優劣の順位を上げるのではありません。

自社だけが適応する唯一の市場地位に、設計し直すのです。

そのために、戦略を3つの方向で転換します。

  • 絞る・・・・唯一になるまで対象を絞り込む
  • ズラす・・・唯一になるよう提供価値の意味をズラす
  • 変える・・・唯一になるよう仕組みを変える

その方向に沿って、戦略設計の6変数を適合させ、

  • 残す
  • 削る
  • 捨てる
  • 強める
  • 創る

の戦略再設計の5指針で、現状からあるべき姿へ移していく。

これが、藤屋式ニッチトップ戦略の設計手順です。

【結び】まず、自社の「市場での存在の仕方」を問い直す

価格と取引条件の主導権は、強みの先にあるのではありません。

強みを、どう活かし、どの顧客と、どのように取引するか——その設計の先にあります。

この設計を、どこから始めるか。

あなたの今の段階に合わせて、進め方を選べます。