事業戦略 粗利益を率で稼ぐか薄利で稼ぐか

薄利多売は薄利少売になる!

粗利益を稼ぐ方法には二通りあります。

ひとつは粗利益率をアップする方法、もうひとつは薄利多売です。

しかし、中小企業が薄利にすると、粗利益が少なくなるのがほとんどです。



薄利にすると売上げを伸ばさなくてはなりません。

売上げを伸ばすためには仕事量も増えるのでヒト・モノ・カネ・時間を投入しなければなりません。

これらはすべてコストです。

薄利にしてこれらのコストをまかなうためには、仕入を安くしたり、IT化したり、IoT化したり、機械化したり、外注化を勧めたりしなければなりません。

貴社にこれらは可能なのでしょうか?



また、貴社にできる低価格販売は、他社にもできます。

すると、価格を下げただけで、競争状況は変わらないことになります。

この状況で、ほんとうに薄利多売で利益をあげることは可能でしょうか?



中小企業での薄利多売は、ほとんどの場合、適性な価格設定ができない言い訳にすぎません。

つまり、自社の利益を削って買ってもらっていると考えたほうが実態に合っています。

これが健全経営のはずがありません。



したがって、中小企業は、自社の特徴を活かせる生態的ニッチ(自社が優位性を発揮できる非競争・弱競争の特定市場)で、他社が対応したがらないお客様ニーズに、適性な粗利益率をもらって対応することを考えてください。

つまり、一般的な市場ではなく、「こだわり市場」を対象にするのです。

 

中小企業は粗利益率のアップで粗利益を稼ぐ

薄利多売による必要粗利益の確保が難しいことがわかって頂けたと思います。

それを踏まえて、経営を良くするためには、必要な粗利益を稼がなければならず、必要な粗利益を稼ぐには、粗利益率をアップしなければならないことがわかって頂けたと思います。

しかし、もうひとつの方法があるのではないかと思うかもしれません。

そうです。

粗利益率を維持して売上げを伸ばす方法です。

これは、すでに十分な粗利益率を確保している会社だけにあてはまることです。

適性な粗利益率を確保しないと、お客様満足の仕組みをつくることもできません。



たとえば、トイプードルのブリーダーで、かつ、直販をしている京都ラッキーファミリーさんは、数年かけて販売価格(=粗利益)を3倍以上引き上げました。

そのおかげで、さまざまなサービスを提供できるようになり、新たにトリミングサロンまで増築して、飼い主さんがくつろぎ、その足元をワンちゃんたちが自由に遊びまわれる衛生的ですてきな環境を整えました。

それによって、それまで以上にお客様の満足度が高まり、当然、売上げも伸びています。

 

提供する価値に値段をつけると粗利益率はアップできる

ビジネス社会では、以前から「モノを売らずに価値を売れ」と言われています。

とくに昨今は、「モノ消費からコト消費」に移行していると言われています。

前述の京都ラッキーファミリーさんも、「トイプードルの販売」から「トイプードルとのすてきな暮らしをサポートする」に変更しました。



これは「モノの販売」から「サービスの販売」に転換したことを意味します。

物理的なモノは、ある程度、数値化できますので、客観的な評価ができます。

コト消費の評価の対象になる体験価値は、客観的な評価がしづらく、主観的な評価にならざるをえません。

主観的な評価になればなるほど比較ができないので、「好きか嫌いか」「自分に向いているいないか」で決めるようになります。

好きなモノ、気に入ったモノは、多少、値段が高くても買っているのが現実ですから、粗利益率をアップすることも可能になるのです。

したがって、今後は、製造業も製造原価に利益を上乗せして価格を決めるのではなく、商品が提供する価値から値段を決めるようにすることです。



なお、提供する価値を引き上げる方法に「ブランド化」があります。

腕時計のロレックス、バッグのルイヴィトン、アイスクリームのハーゲンダッツ、チョコレートのゴディバ、防水素材のゴアテックス、天女の羽衣の天池合繊など、競争が激化しているはずの業界にありながら、ブランディングのおかげで、市場でのポジション(特徴)を確立しています。

技術的に優れた商品もありますが、多くはブランディングによって価値に見合う価格設定(粗利益率の確保)をしています。

なお、ブランディングとは、対象とするお客様の心の中に、固有の特徴を構築し、それを活用して粗利益率を上げていくことです。



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