高収益事業をつくる市場の 棲み分け と 食い分け

前回、藤屋式ニッチ戦略の定義は、

「自社の強みを活かせる生態的ニッチ(適所:非競争の独占市場)となるように、他社との棲み分け・食い分けで高収益の独自市場を創り出し、維持・発展させる中長期的な事業への取り組み」と紹介しました。



そこで、今回は、定義のキーワードになる「棲み分け」と「食い分け」について解説します。



◆棲み分け

生態的ニッチ(適所)の第一要件は、「棲み分け」です。

棲み分けとは、気象や地形などの物理的な観点から生存可能なところで、かつ、自分と競合する優勢な生存者とは別の場所・空間で生活することです。



たとえば、ナマケモノは、捕食者(ピューマ・ジャガーなど)から身を守るために高い木の上で生活しています。

もっとも、高い木の上空には、捕食者のオウギワシもいますが、武器を持たないナマケモノにとって、ピューマ・ジャガーがいない木の上のほうが、相対的な適所です。

また、シロイワヤギは、捕食者(クマ・コヨーテ)から身を守るために、北アメリカのロッキー山脈の中腹の断崖絶壁に生息しています。

ここは、真冬はマイナス30℃にもなる酷寒の地ですが、天敵がいなくて、食物もある適所です。







『適所繁栄』という観点から、【棲み分け】を考えてみましょう。

経営には絶対的な強者も弱者もありません。

あるのは、状況による有利と不利です。

つまり、適所かどうかです。



たとえば、マンモスタンカーの適所は外洋で、手漕ぎボートの適所は湖です。

逆に、マンモスタンカーにとっての湖、手漕ぎボートにとっての外洋は適所ではありません。



同じように、年間1,000万台の大衆車を販売したいトヨタ自動車の適所は世界市場です。

また、年間9,000台弱しか販売しない高級スポーツカーのフェラーリの適所も世界市場です。

なぜならば、あまりに高級すぎるので、1国を対象市場にするには、対象顧客が少なすぎるからです。

しかし、光岡自動車(富山市)の開発部門は、1日1台しか製造しないので、適所は日本市場です。





棲み分けするためには、「誰に・何を・どのように」(つまり事業戦略の3要素)を明らかにする必要があります。

この3要素の「誰に」が対象市場・対象顧客にあたります。

そのためには、市場をセグメント(細分化)し、そのなかで特定の市場に絞り込みます。

そして、特定した市場でポジショニング(位置づけ、特徴づけ)を行ないます。

その特定市場のなかにも、さまざまなタイプの顧客がいますので、ペルソナ(自社の望む条件で買ってくれるファン像、信者像)を設定して、ドラッカーのいう「顧客は誰か?」を特定します。

これで、他社と棲み分けることができるようになります。

貴社は、しっかりと他社と「棲み分け」し、適所と言える市場(ポジショニング)を確保できていますか?





◆食い分け

動物の世界では、同じ草でも、先を食べる種と根元に近いほうを食べる種がいます。

これだと、同じ草を食べても、他の種と競合することはありません。

また、キリンは、高い木の上の葉を食べることで、他の動物と食い分けています。

あるいは、コアラはユーカリの葉ばかりを食べますが、ユーカリの葉には毒素があって、他の動物は食べません。



また、パンダは捕食者がいない高地に移動し、氷河期にも枯れない笹を主食にしたことで、生き残ることができています。

これは、棲み分けと食い分けを共にやった事例になります。



これを企業経営に置き換えるとどうなるでしょうか?

他社にとって魅力がない、あるいは、魅力と思われないような、



・業界の異常識・非常識

・めんどうくさい

・儲かりそうにない

・相対的に小規模市場



になるように、提供する価値を決め、商品設計と提供方法の設計を行なうことです。

他社がやりたがらないニーズに応えることは、他社と市場ニーズを「食い分ける」ことを意味します。

これらの具体的な内容については、後日、解説します。

貴社は、他社と顧客ニーズを「食い分け」(競合する商品・サービスがない状態)できていますか?



=つづく=



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