価格と販売数量が利益に及ぼす影響|値下げではなく“質的成長”で利益を生む経営へ
中小企業に特化した「ニッチトップ戦略®」の専門家、藤屋伸二です。
私はこれまで「ドラッカーの経営学」と「ニッチトップ戦略®」を組み合わせ、350社を超える中小企業の高収益化を支援してきました。
また、ドラッカー関連の書籍を45冊執筆し、累計発行部数は225.9万部を超えています。
多くの経営者が「売上を増やせば利益も増える」と考えていますが、“価格”と“販売数量”の関係を誤ると、売上が増えても利益は減ります。
この記事では、値下げによる利益低下の構造と、利益を守りながら成長を続ける「ドラッカー流の経営視点」を解説します。
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値下げが利益に与える致命的な影響
たとえば、以下のような条件の事例を考えてみましょう。
- 商品単価:10,000円
- 変動費:6,000円
- 販売数量:10,000個
- 固定費:3,000万円
この場合、1個あたりの粗利益は4,000円ですから、10,000個売ると粗利益は4,000万円。
固定費を差し引くと、営業利益は1,000万円です。
▼10%値下げした場合(販売数量維持)
- 単価:9,000円
- 粗利益:3,000円 × 10,000個 = 3,000万円
- 固定費:3,000万円
→ 営業利益:0円
つまり、10%値下げしただけで利益はゼロになります。
▼販売数量が10%減った場合(価格維持)
- 単価:10,000円
- 販売数量:9,000個
- 粗利益:4,000円 × 9,000個 = 3,600万円
→ 営業利益:600万円
価格を維持したまま数量が10%減っても、利益は残ります。
▼価格を10%上げ、販売数量が10%減った場合
- 単価:11,000円
- 販売数量:9,000個
- 粗利益:5,000円 × 9,000個 = 4,500万円
→ 営業利益:1,500万円
このように、価格と数量のバランスを誤ると、売上拡大のつもりが利益破壊につながることがわかります。
単純化していますので、この通りにはならないでしょうが、価格と販売数量が利益に与える影響は分かると思います。
たとえば、貴社が値引き・値下げすると、ほぼ100%、他社も追随していきます。
すると、利益率が下がるだけで販売数量が増えることはありません。
したがって、商品や提供方法に特徴があれば、値引き・値下げは絶対避け、特徴に価値を感じる顧客だけに販売するように方針を転換することです。
売上拡大を優先すると破綻する
かつて、スターバックスが顧客満足優先から店舗数拡大に戦略を転換したことがあります。
その結果、店舗数は急増しましたが、顧客満足が低下し、利益が急速に悪化しました。
そこで、顧客満足を高める経営に戻すために、多くの店舗を閉鎖したのですが、利益はV字回復しました。
その後、社員の成長とともに店舗数を増やすと、利益・売上ともに増えていきました。
これと同じ状況を、店舗展開を急ぐ飲食チェーンに見ることができます。
企業の量的成長と質的成長
ドラッカーは、「企業は量的に成長する(売上拡大)必要は何が、質的に成長する必要はある」と言っています。
この場合の質的な成長は、社員の成長を意味します。
どんなにすばらしい運営システムを設計しても、それを運営する社員が成長しなければ、運営システムが機能しないからです。
人の成長には時間がかかります。
だから、他社が仕組みだけをマネしても、運営する人がいなければ、競争優位が保てます。
利益を優先するニッチ戦略
僕は、ニッチ戦略を「増収増益の仕組み」ではなく、「増益増収の仕組み」だと捉えています。
まず、特定顧客の特定ニーズに応えるための、他社がマネしたくない仕組みを設計します。
たとえば、めんどうくさい対応や、高価格帯への移行、業界の非常識の方法で外部から儲かる仕組みがわからないようにします。
そこで、しっかり利益をあげることを優先します。
社員に対しては、現在の業務をより良くやるように、業務の標準化、教育訓練を徹底します。
そして、特定顧客の特定ニーズを求める顧客に向けて、商品や提供方法の価値を伝える情報発信の仕組みをつくります。
それで新たな顧客を獲得し、増収に結び付けていきます。
これがニッチ戦略の本質です。
つまり、ニッチ戦略は、成長を放棄した戦略ではなく、中小企業に最適な、非競争で成長する高収益が望める成長戦略なのです。
もちろん、ニッチ市場を対象にしますので、売上の上限はあります。
しかし、その上限は、思っている以上に高い所にあります。
仮に上限に達したとしても、市場の再定義・事業の再定義で、難なく上限を超えることができます。
「値下げに頼らない経営」を実現したい経営者の方へ
価格競争に巻き込まれ、疲弊していませんか?
「もう少し安くすれば売れるはず」と信じて値下げを繰り返しても、利益は残らず、社員も疲れ、顧客満足さえ下がっていく。
本当に強い経営とは、“価格を下げずに選ばれる仕組み”をつくることです。
そのためには、ドラッカーが説く「質的成長」。
つまり、人と仕組みを育てながら、価値そのものを磨いていく経営視点が欠かせません。
もし今、
- 利益構造を根本から強くしたい
- 値下げせずに利益を出したい
- 社員が誇りを持てる価格設定にしたい
と考えているなら、次の3つの方法で学びを深めてください。
書籍で理論を深めたい方へ
拙著『ドラッカーに学ぶ 中小モノづくり企業のためのニッチトップ戦略』では、本記事で解説した「価格と利益構造」の考え方をさらに掘り下げ、中小企業が“値下げせずに選ばれる”ための経営原則と仕組み化の方法を具体的に紹介しています。
「価格競争から抜け出す」ための理論書として最適です。
実践で成果を出したい方へ
実際に「価格を上げても選ばれる仕組み」をつくりたい方には、藤屋式ニッチトップ戦略塾がおすすめです。
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参加企業ごとに、利益構造を再設計し、価格を下げずに顧客に選ばれる独自ポジションを築いていきます。
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