主力商品が好調になったら、次に何をするか
売上を伸ばしながら、利益率を上げる ニッチトップ戦略の藤屋伸二です。
事業は好調である。それで、次は?
主力商品が売れています。
引き合いも続いている。
工場も回っている。
今期の数字も見えてきた。
これまで仕込んできたことが、成果になっています。
ここで、次に何をするか。
もっと売る、というのが自然な答えです。
設備を増やす。
人を採る。
営業を強化する。
もちろん、それも選択肢です。
ただ、主力商品が好調なときだからこそ、もう一つ考えておきたいことがあります。
主力商品が好調な今は、今日の成果を伸ばすときです。
そして同時に、明日の成果を準備するときでもあります。
昨日の主力商品、今日の主力商品、明日の主力商品
ドラッカーは、商品を現在の売上だけで見るのではなく、時間の違いから捉えます。
昨日の主力商品。今日の主力商品。明日の主力商品。
昨日の主力商品は、これまで事業を支えてきた商品です。
今日の主力商品は、今、売上や利益を支えている商品です。
そして明日の主力商品は、これから事業を支える商品です。
今日の主力商品が好調なとき、経営者の目はそこへ向きます。
人も設備も時間も、成果が出ている商品へ向かう。
それ自体は合理的です。
しかし、今日の主力商品が好調だという事実だけでは、明日の事業がどうなるかは分かりません。
明日の主力商品は、育ちつつあるか。
まだ今日の主力商品ほど売れている必要はありません。
目指す事業に向けて、次の成果を担う商品が育ちつつあるかを見ます。
なければ、早急に着手する。
今日の主力商品が成果を生んでいる間に、明日の主力商品を育て始めます。
今日の主力商品がある間に、次を育てた会社
たとえば、山梨県中央市のはくばく。
大麦・雑穀などの加工品や乾麺を製造する企業です。
同社は、米に混ぜて炊く大麦製品を主力商品として発展してきました。
しかし、現在の主力商品の販売だけを見ていたわけではありません。
市場調査を担うマーケティング部門があります。
それに加え、「ネクストはくばく」という場を設けています。
従業員が新規事業や長期的な経営課題を議論する場です。
このような、将来の事業について考える仕組みを持っています。
その中で、雑穀やもち麦という新たな市場ニーズを早く捉えます。
そこへ投資し、市場を創造してきました。
中小企業白書によると、これらの製品は数十億円規模まで成長しました。
同社の新たな主力製品になっています。
藤屋式ニッチトップ戦略で見ると、こう捉えられます。
現在の主力商品がある一方で、次の可能性を捉えた。
そこへ経営資源を向け、明日の主力商品へ育ててきた。
(出典:中小企業庁『2022年版中小企業白書』)
今日の主力商品には、まだ伸びる余地があるか
次の準備というと、新商品開発を思い浮かべるかもしれません。
しかし、必ずしも新しい商品をつくる必要はありません。
今日の主力商品に、まだ伸びる余地があることもあります。
ここでいう「伸ばす」は、単に販売数量を増やすことではありません。
利益を伴う売上増につながるように、事業の組み合わせを見直すことです。
対象とする顧客層&市場を変える。
同じ商品を別の用途で使う顧客を開拓する。
提供方法を変えて、顧客の手間を減らす。生み出している価値に見合う適性価格に見直す。
メッセージ発信を変えて、これまで伝わっていなかった価値を伝える。
商品そのものを変えなくても、事業の組み合わせを変える。
それによって、主力商品をさらに伸ばせる可能性があります。
売上だけを増やそうとすると、確実に増えるのはコストです。
利益が伴うかどうかは別の問題です。
今日の主力商品を超えるものを、自社で創る
もう一つが、明日の主力商品を創ることです。
主力商品が好調だからこそ、その商品を守ることだけを考えない。
現在の商品が、これからも主力であり続けるかどうか。
それは、現在の好調さだけでは決まりません。
そこで、今日の主力商品をさらに伸ばす一方で、その商品に代わる次の商品を自社で育てます。
今日のNo.1商品を、将来、自社の次の商品でNo.1から引きずり下ろせるか。
これは、現在の主力商品を否定することではありません。
むしろ逆です。
今日の主力商品が生み出す成果を使って、明日の主力商品を育てる。
そして明日の主力商品が育てば、やがてそれが今日の主力商品になります。
昨日の主力商品から今日の主力商品へ。
今日の主力商品から明日の主力商品へ。
自社の中で、この交代をつくり続けます。
「伸ばす」と「創る」は二者択一ではない
今日の主力商品をさらに伸ばすのか。
明日の主力商品を創るのか。
どちらか一つを選ばなければならないわけではありません。
今日の主力商品をさらに伸ばして、利益を伴う売上増を目指す。
同時に、そこで生まれた利益や経営資源の一部を、明日の主力商品へ向ける。
この二つを並行して進めることもできます。
判断基準は、目指す事業に近づくかです。
今日の主力商品が、目指す事業の中心にあり、まだ伸ばす余地があるなら、強化する。
今日の主力商品だけでは、目指す事業に必要な将来の成果を担えない。
それなら、明日の主力商品を創る。
すでに明日の主力商品の候補があるなら、どこまで経営資源を向けるかを決める。
モノづくり企業の場合
主力商品が好調なときには、そこへ経営資源が集まります。
人、設備、時間、技術、営業活動。
成果が出ているところに経営資源を向けるのは、合理的です。
しかし、すべてを今日の主力商品に向ければ、明日の主力商品を育てる経営資源は残りません。
そこで、現在の商品構成を時間軸でも見ます。
昨日の主力商品は、今どの位置にあるか。
これまで事業を支えてきたからという理由だけで、同じ経営資源を向け続けていないか。
昨日の主力商品であっても、目指す事業に必要なら維持する。
まだ成果を伸ばせるなら強化する。
一方、経営資源を明日の主力商品へ向ける必要があるなら、比重を減らす。
場合によっては、捨てることも選択肢になります。
今日の主力商品は、さらに伸ばせるか。
販売量を増やすだけではなく、利益を伴う売上増にできるか。
明日の主力商品は、育ちつつあるか。
候補があるなら、何を強化するのか。
候補がないなら、何を創るのか。
成果が出ている商品であっても、現在の売上だけで経営資源の向け先を決めません。
目指す事業に照らして、これからどこへ経営資源を向けるかを判断します。
藤屋式ニッチトップ戦略では、その判断に戦略再設計の5指針を使います。
維持する/減らす/強化する/捨てる/創る
事業を構成しているのは、次の6つの戦略変数です。
強み × 商品 × 提供方法 × 価格 × 顧客層&市場 × メッセージ発信
今日の主力商品をさらに伸ばす場合も、明日の主力商品を創る場合も。
どちらも、この6変数の組み合わせで内容を設計します。
今日の成果を、明日の主力商品につなげる
主力商品が好調になったら、次に見るのは今日の数字だけではありません。
今日の主力商品を伸ばすことと、明日の主力商品を創ること。
この二つは、二者択一ではありません。
今日の商品が成果を生んでいる間だからこそ、次を育てる経営資源があります。
今、今日の主力商品には、まだ伸ばす余地があるでしょうか。
そして、明日の主力商品は、育ちつつあるでしょうか。
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