顧客と商品をどう選ぶか|先に決めるのは「目指す事業」
ドラッカーをベースにしたニッチトップ戦略で、モノづくり企業の「価格と取引条件の主導権を取り戻す支援」をしている藤屋伸二です。
「どの客を残すのが、正しいのか」
「どの商品を捨てるのが、正解なのか」
経営では、こうした選択を迫られる場面が何度もあります。
そのとき、目の前の顧客や商品だけを見て、決めようとしていないでしょうか。
それでは、なかなか決まりません。
経営の選択には、最初から決まった正解がないからです。
経営の選択に、決まった正解はない
ある会社にとって正しい選択が、別の会社でも正しいとは限りません。
大口客との取引を減らしたほうがよい会社もあれば、その取引を強化したほうがよい会社もある。
商品を絞ったほうがよい会社もあれば、新しい商品を創る必要がある会社もある。
選択肢だけを見ても、正解は決まりません。
では、何によって決まるのか。
事業戦略の違いを生むのは、選択基準
選択基準です。
必要なのは、正しい選択を探すことではありません。
自社の選択基準を持つことです。
基準があれば、選択肢そのものに正解を求める必要がなくなります。
自社が目指す事業に近づくかどうかで、判断できるからです。
経営に判断基準がなければ、その都度、物差しが変わる
選択基準がない会社でも、経営判断は行われています。
問題は、そのとき何を物差しにするかです。
売上が大きいから、残す。
昔からの顧客だから、断らない。
競合もやっているから、始める。
顧客から言われたから、引き受ける。
一つひとつには、それなりの理由があります。
ただ、判断のたびに、違う理由で決めている。
そして、これらの理由には共通点があります。
どれも、いま目の前にある事情から決めています。
これから目指す事業から決めた物差しではありません。
こうした判断を重ねると、価格も取引条件も、そのときどきの事情に左右されるようになります。
戦略設計の各要素より先に決めるのは、目指す事業
では、自社の選択基準をどうつくるのか。
先に決めるのは、「何を残すか」「何を捨てるか」ではありません。
これから、どのような事業をつくるのかです。
藤屋式ニッチトップ戦略では、事業を6つの変数で設計します。
強み×商品×提供方法×価格×顧客層&市場×メッセージ発信
6つを一つずつ別々に考えるのではありません。
6つが整合した事業を設計します。
目指す事業が具体的になると、いまの顧客、商品、仕事のやり方を、同じ問いで見られるようになります。
「これは、目指す事業に必要か」
顧客や商品を選ぶ基準は、目指す事業と切り離しては決まりません。
目指す事業を先に決めるから、選択基準が決まります。
判断基準が定まると、判断が速くなる
選択基準が定まると、判断のたびにゼロから考える必要がなくなります。
「売上が大きいから、残すべきか」
「昔からの顧客だから、断れないのではないか」
「開発に時間をかけた商品だから、続けるべきではないか」
ではなく、
「目指す事業に近づくか、遠ざかるかを基準に考える」
ゼロから考えるのではなく、決めた基準に照らして考える。
だから、判断が速くなります。
速さより大きいのは、事業の方向性
同じ基準で判断を重ねれば、判断は積み上がります。
その都度の事情で基準が変われば、判断は散らばります。
もちろん、環境が変われば、目指す事業そのものを見直すこともあります。
そのときは、選択基準も変わります。
問題なのは、基準を変えることではありません。
目の前の事情によって、その都度、基準が変わることです。
環境が変わっても、順序は同じです。
先に目指す事業を決める。
その事業に照らして、顧客や商品を判断する。
この順序がないかぎり、判断は散らばり続けます。 正解を探すのではなく、自社の基準に照らして決める。
その基準になるのが、これから目指す事業です。
⇒ なぜ価格と取引条件の主導権を持てないのか。その構造はこちら


