利益の薄い取引を、なぜ捨てられないのか

ドラッカーをベースにしたニッチトップ戦略で、モノづくり企業の「売上を伸ばしながら、利益率を上げる」支援をしている藤屋伸二です。

利益率を上げるには、何かを捨てる必要がある。
そう聞いて、思い浮かぶ取引先や商品が、一つはあるでしょうか。

では、それをいつ捨てるかは、決まっているでしょうか。

捨てる話は、たいてい途中で止まる

候補までは、すぐに挙がります。

  • 利益の薄い取引
  • 手離れの悪い仕事
  • 数だけ多い品目

止まるのは、その次です。

  • 捨てていいのか
  • 捨てたら、その売上はどうなるのか
  • 捨てた後、何に経営資源を向けるのか

ここで判断が止まります。

止めているのは、情報ではありません

数字は手元にあります。
足りないのは、その数字を当てはめる基準です。

  • うちは、どの顧客層のニーズに対応する会社なのか
  • どの強みを使い、何を提供する会社なのか
  • どこから利益を生み出す会社なのか。

この基準があれば、目の前の売上だけで判断する必要はなくなります。
なければ、案件が出てくるたびに、残すか、捨てるかを考えることになります。

いま、御社の判断基準の代わりに働いているのは、顧客の物差し

では、自社の基準がない状態では、何が判断を決めるのでしょうか。

  • 相見積もり
  • 業界相場
  • 他社の見積額

どれも、顧客が持っている取引先を決める物差しです。
他社と同じ物差しで比べられている限り、価格も取引条件も、顧客や相場の影響を強く受けます。

技術力に違いがあっても、その違いが価格や取引条件に反映されるとは限りません。
そして、捨てる判断も同じです。

  • この顧客を失ったら売上が減る
  • この商品をやめたら受注が減る

現在の売上を基準に考えれば、捨てない理由はいくらでも出てきます。
問題は、何を捨てるかではありません。

これから、どんな事業をつくるのかが決まっているかです。

判断基準は、事業戦略の構造から生まれる

捨てる基準は、決意からは生まれません。
他社と比べられない状態をつくることから捨てる基準が決まります。
他社が対応できない、あるいは対応したがらないニーズに、自社だけが応える事業を設計する。
ドラッカーは、この市場地位をエコロジカル・ニッチと呼びました。

藤屋式ニッチトップ戦略では、この事業を6つの変数で設計します。

強み×商品×提供方法×価格×顧客層&市場×メッセージ発信

足し算ではなく、掛け算です。

強みだけを磨いても、商品だけを変えても、顧客層だけを絞っても、それだけでは事業全体は変わりません。
6つを一つの事業として整合させる必要があります。

そして、この6変数を見直す指針が5つあります。

残す・削る・捨てる・強める・創る

「捨てる」は、このうちの一つにすぎません。

「捨てる」だけを取り出すと、決められない

ここが重要です。

何を捨てるかだけを考えると、判断基準は現在の売上や利益になります。
だから、

  • 利益は薄いが、売上はある
  • 手離れは悪いが、大切な顧客だ
  • 品目は多いが、なくすと困る顧客がいる

となり、判断が止まります。
先に必要なのは、捨てるものを探すことではありません。

  • どの強みを使うのか
  • 何を提供するのか
  • どのように提供するのか
  • どのような価格で取引するのか
  • どの顧客に応えるのか
  • その価値をどう伝えるのか。

6変数で、これからつくる事業を設計する。
その事業に照らして、

  • 何を維持するか
  • 何を減らすか
  • 何を強化するか
  • 何を捨てるか
  • 何を創るか

を判断します。

捨てるものを先に決めようとするから、決まらないのです。

捨てた後ではなく、捨てる前に経営資源の向け先を決める

捨てる目的は、会社を小さくすることではありません。
人、設備、資金、時間。
これらの限られた資源を、これから伸ばす事業へ向けるためです。

だから重要なのは、「何を捨てるか」だけではなく、「そこで空く資源を、何に向けるか」まで同時に決めることです。

問題に使っていた資源を減らし、捨て、機会へ向ける。
自社だけが応えられる領域を強める。

まだ応えられていないニーズに対して、新しい商品や提供方法を創る。
ここまで決まって、初めて「捨てる」が事業戦略として機能します。

いまの売上や利益率の状態は、放っておくと続く

捨てる判断は、これからも出てきます。

  • 新しい引き合い
  • 既存客からの値下げ要請
  • 品目の追加
  • 特別対応の依頼。

そのたびに個別に考えていれば、また同じところで判断が止まります。

問題は、一つひとつの判断ではありません。
その判断を生み出している、事業戦略の構造です。

構造が変わらなければ、同じ判断を繰り返すことになります。
いま捨てられずにいる取引先や商品。
それは本当に「捨てるかどうか」が問題なのでしょうか。

その前に、「これから、どんな事業をつくるのか」が決まっているでしょうか。

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藤屋式ニッチトップ戦略では、6変数を5指針で見直し、他社と比べられない事業を設計していきます。

何を捨てるかを考える前に、何を維持し、何を減らし、何を強化するかを決め、捨てた後に、何を創るか。
このような、御社の戦略設計の手順を、解説するセミナーでしています。

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