何でもやる会社が価格競争から抜けられない理由|便利さだけでは、指名されない

ドラッカーをベースにした藤屋式ニッチトップ戦略で、モノづくり企業が価格と取引条件の主導権を取り戻す支援をしている藤屋伸二です。

「何でもやってくれる、便利な会社ですね」

取引先から、そう言われたことはありませんか?

一見、褒め言葉です。
実際、顧客の要望に応えられることは、御社の強みです。

しかし、何でも同じように引き受けていると、その強みが経営成果に結びつかなくなることがあります。

何でも対応すると、何に強い会社か分からなくなる

なぜ、何でも対応する会社は、価格競争から抜けにくいのでしょうか。
理由は、顧客から見て、何に強い会社なのかが分からなくなるからです。

  • 短納期にも対応する
  • 小ロットにも対応する
  • 特注にも対応する
  • 急な変更にも対応する。

一つひとつは、価値のある仕事です。

ところが、それらを誰にでも、何にでも、相手の条件に合わせて提供していると、顧客からは「何でも頼める便利な会社」として認識されます。

何でも頼める会社は、何で選ぶ会社なのかが分かりません。
その結果、顧客は、価格、納期、対応の早さといった、比較しやすい条件で選ぶようになります。

もっと安く、もっと早く、もっと無理を聞いてくれる会社が現れれば、取引先はそちらに移るかもしれません。

便利さだけで選ばれた会社は、より便利な会社に替えられます。

捨てられない理由は、いつも正しい

とはいえ、既存の仕事を見直すのは簡単ではありません。

  • この顧客との取引を減らしたら、売上が落ちる
  • この商品をやめたら、取引先に迷惑をかける
  • せっかく対応できるのに、断るのはもったいない

どれも、間違った理由ではありません。
だからこそ、捨てられないのです。

しかし、すべてを抱え続ければ、社員は疲弊し、価格と取引条件は顧客に決められたままです。

必要なのは、「これしかやらない」と決めることではない

では、すべてを捨てて、一つの商品だけに絞ればよいのでしょうか?
そうではありません。

必要なのは、どの顧客の、どのニーズには応え、どのニーズには応えないかを決めることです。

たとえば、短納期対応そのものを捨てる必要はありません。
短納期を本当に必要とし、その価値を理解し、適性価格を支払う顧客に限って提供する方法もあります。

小ロット対応も同じです。
誰にでも小ロットで対応するのではなく、他社では対応しにくく、御社の技術や提供方法が生きる顧客層&市場に集中する。

捨てるべきなのは、便利さではありません。
御社の強みを消耗させる仕事と、その仕事を生み出している取引のあり方です。

■指名される会社は、応えるニーズを選んでいる

指名される会社は、何でもできる会社ではありません。
「このニーズなら、この会社だ」と顧客から認識されている会社です。

その状態をつくるには、御社でなければ応えられないニーズを明確にし、そこに強みを集中させる必要があります。

  • 応えるニーズを選ぶ
  • 対象とする顧客層&市場を選ぶ
  • 提供方法を選ぶ
  • 価格と取引条件を選ぶ

その結果として、他社との比較が成立しにくい市場地位が生まれます。
藤屋式ニッチトップ戦略では、この市場地位を、エコロジカル・ニッチと呼んでいます。

問うべきは「何を捨てるか」ではない

問うべきことは、「何を捨てるか」ではありません。
「御社でなければ応えられないニーズは何か」です。

その答えが見えれば、維持するもの、減らすもの、強化するもの、捨てるもの、創るものが決まります。

何でもやる会社から、御社でなければ応えられないニーズに集中する会社へ。
それが、価格競争から抜け出し、適性価格で利益を出し続けるための転換です。

御社の強みが、なぜ価格と取引条件に反映されないのか

ここのページで詳しく説明しています。