ChatGPTは社長の右腕になれるか?!経営者が知るべき「AIの可能性と限界」【第4回】
中小企業に特化した「ニッチトップ戦略」の専門家、藤屋伸二です。
「ChatGPTは便利だけど、経営にどう活かせばいいか分からない」
そんな声を、多くの中小企業経営者から聞きます。
私はこれまで「ドラッカーの経営学」と「ニッチトップ戦略®」を組み合わせ、これまでに350社以上の中小企業の高収益化を支援してきました。
なお、キャリアの割に支援した企業数が少ないのは、継続的に支援している企業様が多いからです。
また、これまでにドラッカー関連の書籍を45冊執筆し、累計発行部数は225.9万部を超えています。
その経験から見ても、今まさに経営者の右腕となり得る存在として注目しているのがChatGPTです。
- ChatGPTを右腕のように使いたいが、どこまで頼れるのか分からない
- 結局、経営の意思決定にAIをどこまで任せていいのかが不安
そんな疑問を感じていませんか?
この記事では、ChatGPTを“経営者の右腕”としてどう位置づけるべきか、そして人間とAIがどのように役割分担すべきかを解説します。
本記事は、全10回シリーズ「ChatGPTを経営者の名参謀に育てる方法」の【第4回】です。
シリーズは各回ごとに完結していますが、【第1回】から読んでいただくと理解がより深まり、実践に活かしやすくなります。
第1回では「ChatGPTを経営者の戦略活用で差をつける5ステップ」を解説していますので、まだの方はぜひ併せてご覧ください。
■ まず「右腕」とは何を意味するのか
まずは、「右腕」という言葉の定義を明確にしましょう。
ここで言う“右腕”とは、単なる補助者ではなく、次のような機能を指します。
- 思考を補完し、視点を広げる
- 論点を整理し、仮説を提示する
- 決断前の選択肢を比較・検討する
このような“参謀的機能”は、ChatGPTに十分期待できます。
一方で、「最終判断」や「責任を伴う意思決定」は、当然ながら経営者本人の役割です。
つまり、「考える右腕」としてはAIは十分に機能しますが、「決断する右腕」にはなり得ません。
■ ChatGPTで「できること」:思考補助・論点整理・仮説生成
ChatGPTは、以下のような領域で“戦略参謀”としての力を発揮します。
✅ 論点の整理
- 経営課題を因数分解し、構造化して見せてくれる
- SWOTや3Cなどの枠組みで思考を整理する
✅ 仮説生成
- 「この課題の原因は何か?」「改善策の候補は?」といった問いに複数の視点を提示
- 経営者自身の考えを“相対化”し、新たな気づきをもたらす
✅ 第三者視点の提案
- 顧客視点・競合視点
- 社員視点などの立場で意見を出せる
- 独りよがりな判断の“ブレーキ役”になる
こうした機能を、自社の状況に合わせて活用する設計こそが、ChatGPTを右腕化するカギになります。
■ ChatGPTの「限界」:判断・責任・一次情報の欠落
一方で、ChatGPTには明確な限界もあります。
以下のような領域を「AIに任せきり」にすると、むしろ危険です。
❌ 責任ある意思決定
- ChatGPTは法的
- 倫理的責任を取れない
- 最終判断は経営者の“意思”に基づくべき
❌ 社内の文脈・現場空気の理解
- 特定の人間関係、組織文化、空気感までは把握できない
- 特に“人の感情”が絡む判断は苦手
❌ 一次情報・現場データの収集
- あくまで“提供された情報”に基づいて回答する
- 現場を歩いて得る一次情報の代替にはならない
❌ 利害調整・最終クロージング
- 社内外の交渉、微妙な空気を読み取った着地提案は困難
■ 成果が出る役割分担とワークフロー設計
重要なのは、「できること」「できないこと」を整理した上で、経営者×ChatGPTの役割分担を設計することです。以下は一例です。
| 領域 | 担当 |
| 仮説の構築・検証 | ChatGPT(プロンプトで誘導) |
| 現場状況の把握 | 人間(社員・経営者) |
| 論点整理・視点の拡張 | ChatGPT |
| 決断・責任・着地判断 | 経営者 |
このように、「考えるプロセスの一部」をChatGPTに委ねることで、経営者はより本質的な判断に集中できるようになります。
■ 失敗しない導入のチェックリスト(制度・教育・ガバナンス)
導入を成功させるには、「なんとなく使い始める」のではなく、以下の3点をあらかじめ整備する必要があります。
✅ 経営情報の整備
- 事業内容・顧客情報・自社の強みなど、AIが理解できるように記述・提供
✅ プロンプト設計の教育
- 経営者自身が“質問力”を磨くこと・ChatGPTに“考えさせる”問いの型を習得する
✅ ガバナンス・ルール設計
- 社外秘情報の取扱い方針を明確化・誰がどの目的で使うのかを明文化する
このような準備が、ChatGPTを“安心して使える右腕”に変える基盤になります。
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■ 次回予告
次回は、
「【第5回】ChatGPTへの質問力で経営を向上|生成AIで問いを研ぎ澄まし戦略を加速する方法」
をお届けします。
「問いの立て方ひとつで答えの質は変わる」
戦略参謀としてのChatGPTを育てるうえで欠かせない“質問力”に焦点を当てます。


