顧客から考えると、事業はどう変わるのか

売上を伸ばしながら、利益率を上げるニッチトップ戦略の藤屋伸二です。

何をつくる会社か。何を買ってもらっている会社か

御社は何をつくる会社ですか。

この問いには、すぐ答えられます。

精密部品の加工。
板金と溶接。
装置の組み立て。

長年やってきたことです。
では、顧客は何を買ってくれているのでしょうか。
同じことのように見えて、答えが違うことがあります。

顧客が発注書に書くのは部品名です。
しかし、顧客が買っている価値は、部品そのものだけではありません。

  • その部品によって自社の製品が成立すること。
  • 生産が止まらないこと。
  • 設計が形になること。

部品そのものの性能に加えて、それによって顧客の側に何が生まれるのか。
そこまで含めて、顧客にとっての価値になります。

自社から見た事業と、顧客から見た事業。
この二つがずれていると、何が起きるか。

商品から見るか、顧客から見るか

自社から見ると、事業は工程で構成されています。

受注があり、材料を手配し、加工し、検査し、納める。
改善の対象も、この線上にあります。

精度を上げる。
納期を短くする。
歩留まりを改善する。

どれも必要な努力です。
ただ、自社の工程だけを見ていると、顧客にとっての価値が生まれている場所を見落とすことがあります。

顧客には、自社に発注する前の工程があります。
設計があり、社内の承認があり、他の部品との整合があります。

発注した後にも、受け入れ検査があり、組み立てがあり、出荷があります。
御社の納品は、この長い流れの一部です。

顧客が困っていることは、自社の工程の中にあるとは限りません。
その前後にあることもあります。

同じ事業を、自社の工程だけから見るのか。
顧客の側からも見るのか。
見る位置が変われば、価値を生み出せる場所の見え方も変わります。

ドラッカーは、マーケティングをどう考えたか

マーケティングという言葉は、販促や広告、営業支援の意味で使われることがあります。

しかし、ドラッカーは、マーケティングを販売や広告といった一部門の仕事には限定していません。
顧客の側から見た事業全体に関わるものとして捉えています。
藤屋式ニッチトップ戦略では、これを次のように捉えています。

顧客を起点・基点にして事業全体を考えること。

そしてドラッカーは、事業の目的を顧客の創造だと述べました。

だから問うのは、自社が何をつくっているかだけではありません。

  • われわれの顧客は誰か
  • 顧客にとっての価値は何か

この問いから事業全体を見ます。
ここから、ドラッカーのよく知られた考え方につながります。

マーケティングの理想は、販売を不要にすることです。

これは、営業活動をなくすという意味ではありません。
顧客を理解し、その顧客に合った事業をつくる。
それによって、売り込みや説得への依存を小さくしていくということです。

顧客から考えることと、顧客に合わせることは違う

ここで、注意が要ります。
顧客を起点にする、と聞くと、顧客の言うとおりにすることだと受け取られることがあります。

要望に応える。
条件を飲む。
言われた仕様でつくる。
これは、本当の意味での顧客志向とは違います。

顧客の要望は、顧客が認識している要求です。
それが、顧客にとっての価値のすべてとは限りません。
安い単価を求めた結果、総コストが上がることもあります。

指定された仕様どおりにつくるより、別の方法を提案する。
そのほうが、顧客に大きな価値を生み出せることもあります。

ドラッカーが問うのは、要望にどう応えるかだけではありません。
顧客にとっての価値は何か、です。

そして、もう一つ問います。

われわれの顧客は誰か。

これは、今取引している相手をそのまま前提にする問いではありません。
誰を顧客とするのかを考える問いでもあります。
顧客から考えるというのは、現在の顧客に合わせることではありません。

  • どういう事業を目指すのか
  • その事業では誰を顧客とするのか
  • その顧客にとって何が価値なのか。

この三つを行き来しながら、事業を具体化していきます。

自社の技術からではなく、顧客の現場から見直した会社

たとえば、神奈川県横浜市のテクノラボ。
IT・IoTの技術を持つ企業です。

同社は、自社の技術から商品を考えるのをやめました。

中小製造現場の課題ありきでIT/IoTサービスを提供する

この方針へ転換しています。

製造現場を見ると、業務日誌を電子化しても、入力しきれない情報があります。
紙との併用が残っていました。
そこで同社は、細かな内容まで音声で手軽に電子入力できる仕組みを開発します。

また、ネットワークにつなげず、アプリも追加できない検査機械があります。
これには、外部ディスプレイの画面から必要な情報を自動で読み取る仕組みを開発しました。

特徴的なのは、高度な技術を使うこと自体を目的にしていないことです。
既存のセンサーや製品を、顧客の現場の課題に合わせて組み合わせる。
そして、使いやすいソリューションとして提供しています。

工藤社長は、次のように述べています。

顧客の課題を発掘して解決するほど、自社のソリューション力も高まる。

藤屋式ニッチトップ戦略で見ると、こう捉えられます。
自社が持っている技術から事業を考えるのではなく、顧客の現場から見直した。
その結果、商品だけでなく、提供方法や自社の強みの生かし方まで変わった。

(出典:経済産業省『2018年版ものづくり白書』)

モノづくり企業の場合

顧客から考えると、事業を構成する6つの戦略変数の見え方が変わります。

強み × 商品 × 提供方法 × 価格 × 顧客層&市場 × メッセージ発信

  • 強み:自社が難しいと思っている技術が、顧客にとって大きな価値になるとは限りません。強みは、自社の中だけでは確定しません。
  • 商品:顧客が買っている価値は、部品や加工そのものだけではありません。その商品によって、顧客の側で何が可能になるのか。何が省けるのか。何が改善されるのか
  • 提供方法:顧客の流れの中で、自社はどこに関与すれば、より大きな価値を生み出せるのか。仕様が固まる前から関与する。後工程まで担う。必要なときに必要な量だけ供給する
  • 価格:価格も、顧客から切り離して決めるものではありません。顧客の側でどのような価値が生まれているか。それによって、価格の考え方も変わります
  • 顧客層&市場:誰に向けるかによって、自社の強みの意味が変わります。求められる商品も、提供方法も、その価値に見合う適性価格も変わります。だから、現在の顧客を所与のものとは考えません。目指す事業と、特定顧客に生み出す価値を行き来しながら、対象とする顧客層&市場を決めます
  • メッセージ発信:自社が何を持っているかだけではありません。それによって顧客の側で何が変わるのかを伝えます。

同じ事業でも、何を伝えるかによって、顧客の判断材料として認識されるものが変わります。
このように、顧客の側から見ることで、6変数すべてを改めて考えることができます。

顧客から見ると、事業全体の見え方が変わる

顧客から考えるというのは、顧客の要望に従うことではありません。
市場調査を増やすことでもありません。

自社の工程だけで事業を見るのではなく、顧客の側からも事業全体を見る。
藤屋式ニッチトップ戦略でいうマーケティングとは、このことです。

そこで見えてきた事業を、6変数としてどう組み替えるか。
それが戦略設計になります。

  • 御社は何をつくる会社でしょうか
  • そして顧客は、御社から何を買っているのでしょうか

藤屋式ニッチトップ戦略を御社に当てはめる

藤屋式ニッチトップ戦略塾では、

戦略設計の6変数を実際に御社に当てはめ、
どこをどう組み替えるかの設計を支援します。
1クール6回、各回のテーマは独立しているため、いつからでも参加できます。
体験参加 30,000円(税込33,000円)の詳細とお申し込みはこちらです。

藤屋式ニッチトップ戦略|設計プロジェクトでは、

藤屋式ニッチトップ戦略塾で行うことを、
超短期間(2日間+後日の3時間)で個別に設計します。
詳細とお申し込みはこちらです。

まずは記事で考えたいという方は、

無料メルマガをご登録ください。
ご登録はこちらです。