プロセスニーズを代替するニッチ戦略

他社のプロセスの一部を強みで補助・支援する

ドラッカーのイノベーションのチャンスのひとつに「プロセスニーズ」があります。これは、多くのプロセス(業務の流れ、工程)には、部分的に生産性が悪い箇所があり、その改善がイノベーションのチャンスになるというものです。

大企業の事例:他行のためにATMを代替するニッチ戦略

たとえば、地方銀行にとってのATMの設置がそれにあたります。

利用者の利便性を高めるためには、どこでも・いつでも入出金できるATMが必要です。しかし、それを自前で設置しようと思えば、膨大な設備投資が必要になりますが、設備投資に見合うリターンは、期待できません。

その、顧客サービスには必要ですが、地方銀行では効率的に構築できないプロセスの一部の機能を代行しているのがセブン銀行のATMです。

どこかの施設にATMコーナーをつくれば、数百万、路面にATMコーナーをつくれば1千万円を超える設備投資が必要になります。

そのうえ、現金の補充、セキュリティなど運営上の費用も発生します。しかし、セブン銀行のATMが使えれば、手数料だけですむのです。

同社のATMは海外で発行されたクレジットカード・キャッシュカードで、日本円の引き出しが可能です。

こうした利便性とコストの視点から、たとえば、新生銀行東京支店には、同社のATMではなく、セブン銀行のATMが設置されています。また、十六銀行高山支店にもセブン銀行のATMが設置されています。

セブン銀行のATM設置台数は22,000台。セブンイレブンの店舗数だけでも18,000店を超えていることから、同社のATMを利用する利便性がわかります。これに匹敵する設置台数はゆうちょ銀行ぐらいですが、立地から見た利便性では比べようがありません。

海外からの旅行客が増えている状況では、セブン銀行のATMを活用する地方銀行はされに増えると思われます。

この「プロセスニーズを代替するタイプ」を中小企業で考えると、「アウトソーシング先」「協力会社」と言い換えることができます。

ただし、「下請け」ではなく「パートナー」という関係でなければなりません。前述したセブン銀行は下請けとして地方銀行と提携しているのではなく、なくてはならないパートナーとして提携しています。

中小企業の事例:アパレルメーカーの生産管理・企画の補助・支援するニッチ戦略

有限会社ニードワーク(河本和行社長、従業員11名)は、アパレル製品OEM製造業(試作・工程開発のためのラインはあるが、生産ラインはない)です。自社では縫製を行なわず、品質重視を第一に国内協力工場のみで生産を行なっています。

同社の、(1)不良返品率が同業他社に比べ圧倒的に低い、(2)顧客の希望納期を厳守、(3)短期間でのサンプル作成、の3つの魅力が高級のカットソーや布帛(ふはく)を必要とするアパレルメーカーからみても、なくてはならない存在(パートナー)になっています。

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