リーダー企業の強みを足枷にさせるニッチ戦略

リーダー企業が対応できない状況をつくる

ビジネスは、商品力×販売力で成り立っています。そして、どの業種・業界でも、リーダー企業は、この両方が高いレベルで確立されています。

例えば、生命保険業界で、大手の日本生命などは数万人規模の営業体制で、個別相談に応じたり、提案したりして細やかな対応をしています。それが大手生命保険会社の「強み」です。

そうした十分に機能している営業部員が、不要になるようビジネス・モデルが生み出されたら、大手の生命保険会社は、すぐに対応できるでしょうか。

間違いなく、「最強の人的営業体制」という自社の強みを不要にするような保険のインターネット販売には積極的に取り組めないはずです。

そこに目を付けたのが、ライフネット生命保険などのインターネット販売の保険会社です。

彼らは、大手保険会社の保険料の内訳(営業経費の高さ)を公表し、インターネット販売の良さ(安さ・便利さ)を強調して、売上げを伸ばしてきました。当然のことながら、インターネットでは、個別の生命保険の設計や、複雑な特約などは販売できないので単純な企画商品になります。それが、また、「分かりやすさ」という点で、大企業との商品の差別化になっています。

失うものがない強み

出版業界にも同じことが言えます。大手の出版社は、長い間、書店を通じて自社の書籍を販売してきました。

したがって、アマゾンなどのインターネット販売が普及してきたからといって、まだまだ販売比率が高い書店を軽んじることはできません。

しかし、本書の出版元でもあるダイレクト出版株式会社(小川忠洋社長、従業員60名)は、書店とのしがらみがないので、インターネットを主要な流通経路にすることに、何ら抵抗はありません。「持たざる者の強み」ですね。

それを活かして、同社は、オリジナルな書籍をインターネット販売することで、縮小する書籍市場で業績を伸ばし続けています。

弱みを強みに転ずる

長所と短所は常に表裏一体です。相手の強みは、視点を変えれば弱みになります。同じように、自分の弱みは、強みに転換することができるのです。

ドラッカーは、「経営者の仕事の本質は考えること」だと言っています。打開策(突破口)が見つからないのは、十分に考えていないだけかもしれませんね。