数量限定型ニッチ戦略

あえて売らない戦略

行列ができる状況を創り出すのがこの「数量限定型ニッチ戦略」です。行列をつくるには、売れに売れる商品をつくる方法が1つ。でも、この方法は、普通の中小企業には現実的ではありません。

もう1つの方法が、需要と供給のバランスを崩す方法です。たとえば、100人が欲しいという商品を、あえて80個しか売らないのです。そうすれば、並ばないと買えない状況になります。人気がある商品であれば、この方法が効力を発揮します。
自動車でいえば、フェラーリがその方法を取っています。同社は年間7,000台しか造りませんでした。しかも、新型車を売り出すときは数百台単位です。

2016年からは、ニューヨーク証券取引所に上場したため、年間の生産台数を9,000台にまで増やすそうです。それでも、1年間でフェラーリを買える人は9,000人しかいません。トヨタ自動車を買える人は1,000万人いることを考えれば、いかに限定的であるかが分かります。

身近な数量限定型ニッチ戦略を採用している事例

「○○ラーメン、1日限定100杯」とか、「売り切れ次第、本日の営業を終了させて頂きます」と打ち出している和菓子屋などがありますが、これらも「数量限定型ニッチ戦略」と言えます。

経営方針には、売れるだけ売って規模拡大をめざす方法と、範囲の経営に留まる方法があります。高度の職人技を要するような商品では、後者の道を選択するのも、りっぱな戦略です

特定に顧客層に限定し、ファンや信者を創ると独特の世界ができあがるので、競争を仕掛けてくるライバルがいなくなります。これこそ、ドラッカーの言う「生態学的ニッチ戦略とは、競争しようと考える者がいない状況」になります。

なお、これから加速していくであろう少子・高齢化に伴なう人材不足、採用難を考えると、普通の中小企業の進むべき王道は、範囲の経営(ニッチ戦略)なのだと思います。